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「信頼損なわれた」対韓輸出規制の影響は?

2019年7月2日 17:50

いわゆる元徴用工訴訟をめぐり、日本政府が事実上の対抗措置をとったことに韓国が反発している。日韓両国の批判の応酬はどこまで続くのか。日本企業からは影響を心配する声も上がっている。

菅官房長官「信頼関係が著しく損なわれた」

世耕経産相「韓国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっている」

2日、閣僚の口から相次いだ韓国への不信感。事の発端は1日、日本政府が発表した輸出規制だ。

これを受け、韓国政府がWTO(=世界貿易機関)への提訴も辞さない構えを見せたことに、日本政府が2日、反発した。

世耕経産相「WTO違反との指摘も全くあたらないと考えています」

輸出規制の対象となるのは、半導体やスマートフォンの有機ELディスプレーの製造などに使う3つの化学製品で、これらは世界の生産量のほとんどを日本が占めている。

4日から、韓国に対しては、輸出手続きの簡略化などの優遇措置がなくなり、サムスン電子など韓国メーカーに影響が出るとみられる。

菅官房長官は、今回の措置はいわゆる徴用工訴訟問題の「対抗措置ではない」としたものの、次のように明言した。

菅官房長官「韓国側の否定的な動き、これが相次いで、その上に、旧朝鮮半島出身労働者(徴用工訴訟問題)については、G20までに満足する解決策が示されなかったことから、信頼関係が著しく損なわれたと言わざるを得ない」

G20大阪サミットでも、今の日韓関係を象徴するような出来事が…。韓国・文在寅大統領は安倍首相との首脳会談を目指していたが、実現せず見送りになった。

専門家は日韓の意識の差を指摘する。

静岡県立大学大学院・奥薗秀樹准教授「(文在寅政権の関心は)北朝鮮の問題。せいぜい国内の経済問題。(徴用工)判決の問題は優先順位が下がってしまったと思う。気がついてみると、対応が後手後手に回って、にっちもさっちもいかない状態に陥った」「(今回の輸出規制強化は)韓国経済の屋台骨を成している産業に大きな影響を与えかねない措置ですので、最悪、報復の連鎖に陥ってしまうことも考えないといけない状況」

日韓両政府の対立は日本の企業にも影を落としつつある。化学製品を作る昭和電工は、「輸出できなくなるわけではない。現時点で影響は言えない」とコメント。東京応化工業は「これから期待されている分野だけに影響はある」としている。

「過去最悪」との指摘も上がっている日韓関係だが、さらに冷え込む可能性が高まっている。