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参院選の争点に?“老後2千万円不足”報告

2019年6月11日 17:59
参院選の争点に?“老後2千万円不足”報告

95歳まで生きると、年金収入だけでは夫婦でおよそ2000万円が不足する、とした金融庁の報告書。その波紋が広がっている。

参議院選挙の争点にしたいと意気込む野党に対し、麻生金融担当相が報告書を受け取らない考えを示すなど、政府・与党は危機感を強めている。

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11日、野党が「選挙の争点」だと息巻いたのは、“95歳まで生きるとすると、年金収入だけでは夫婦で約2000万円足りない”とした金融庁の報告書について。

立憲民主党・辻元国対委員長「年金は安心だという、安心安心詐欺じゃないか。これは最大の参議院選挙の争点になるんじゃないかと思います」

報告書では、無職の高齢夫婦の平均的なケースで考えたとき、年金収入だけでは毎月およそ5万円の赤字となると試算。その暮らしが30年続くとすると、年金だけで生活をおくるには、およそ2000万円足りない、と結論づけた。

これに、野党は「100年安心はウソだったのか」などと反発。政府側は、報告書は誤解をまねくもので「不適切な表現だった」と説明に追われた。

11日、自民党は金融庁に報告書の撤回を要求。

自民党・二階幹事長「(金融庁は)自分たちが置かれる立場をもっと真剣に考えなきゃいけない。厳重に注意しておきます」

金融庁に抗議した。

麻生財務相も、担当相として、金融庁の報告書を正式なものとして受け取らない考えを示した。

麻生財務相「年金制度が崩壊するかごときに思われるような表現になっていた。そういったこと全くありませんから」

政府・与党が“火消し”に躍起になる、そのわけは、この問題が、夏にせまった参議院選挙に影響するのではと、危機感を強めているため。

自民党関係者「なんで選挙の足を引っ張るのか。怒り心頭だ」「この問題の追及が続いたら、参議院選挙も危ない」

野党は、政府が報告書を受け取らないとしたことに対し、政府の考えと違うから報告書を受け取らない、というのはおかしいと指摘。

国民民主党・原口議員「先週説明した事実を変えることはできないんですよ。国会をバカにするのもいい加減にしてほしい。あなた(金融庁職員)に言ってるんじゃない、麻生氏に言ってるんですよ」

2000万円不足するとした分析まで取り下げる必要はない、と主張した。

実際、報告書の分析について専門家は…

三菱UFJリサーチ&コンサルティング・小林真一郎さん「長生きのリスクが高まっている中で、将来、お金が足りなくなるリスクは以前から指摘されていた。将来、困らないために、警鐘を鳴らす目的だったと思う。」

野党側は、この問題について、予算委員会の集中審議などでさらに追及したい考えだが、与党は応じない方針。