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日本の若者、なぜ自己評価低い?

2019年5月28日 14:09
日本の若者、なぜ自己評価低い?

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「日本の若者、自己評価低い?」。NPO法人・青春基地代表理事・石黒和己さんに聞いた。

人材サービス企業が、世界の18歳から30歳の若者に行った調査によると、「将来の職業に必要なスキルを身に付けている」と答えたのは、世界平均が約73%だったのに対し、日本の若者は約31%と、主要13か国中で最も低い結果だった。

また、「将来の職業のために準備するスキルは何か」との問いには、日本の若者だけが「コミュニケーションのスキル」をトップにあげ、その他の国の若者が重視したのは「外国語」「実務経験」となっている。


――まずは、フリップをお願いします。

『準備より“本番”を』と書きました。まず思うことは、世界の学力を見たときも、日本の若者は決して低くない、むしろ高いんです。つまり実際の能力以上に、自分はできないと過小評価している傾向が日本の若者には強いのではないかと感じています。


――自信がないということは、難しいことをやらせすぎてしまっているんですか。

そうですね、私が思うのはここに書いた『準備より“本番”を』なんですが、今の学校教育というのは、準備するという考え方があるんです。例えば、中学では高校のための受験勉強をしよう、高校では大学受験のための勉強をしよう、そして大学に入ったら、今度は就職するために準備をしようと…常に教育というものを受けている時間は、何かの本番に向けるための時間となってしまっていて、学びの中に“本番”という機会が少ないかと思います。それが実際にやったことないことに対して、不安な気持ちになったりして、社会に役立つという実感を持ちにくいということがあるのではと感じています。


――よく高校などでもありましたが、この勉強をやっても将来の役に立たないんじゃないかというような不満の声も出てきてしまいます。これが学びの中で、乖離(かいり)してしまっているわけですね。これから教育や生徒たちはどういう風に変わっていかなければならないのでしょう。

やはり今、私たちが取り組んでいる活動――学びの中で、何かずっと準備をして勉強するだけではなくて、自分が実際に人に会いに行ったり、やりたいと感じた社会の取り組みに挑戦したり、アクションを通じて学ぶということをしていく必要があると思います。

――そこでは、失敗も経験できますね。

その通りですね。実際にやってみないとわからないことは、ものすごく多いと思います。やることによって失敗したり、失敗したらそこで新しいことに気づいて学んでいく、その“気づき”の中から、学習していくことが必要なのなかと感じます。


■石黒和己さんプロフィル
NPO法人・青春基地代表理事。公立高校むけの教育プログラムを展開している。大切にするのは生徒たちの「やってみたい」という好奇心。公立高校の授業のなかで、校舎を飛び出しさまざまな人に出会ったり、経験したりして学ぶプログラムを企画。まちあるきや対話を通じて生徒がプロジェクトを立案し、フリーペーパー作りや取材などに取り組んできた。動くことで初めて知る景色や驚きなどを通じて、中高生の自己肯定感や創造性を育むことを目指している。


【the SOCIAL opinionsより】