国賓トランプ大統領を招き 宮中晩さん会
27日夜、国賓として来日しているトランプ大統領を招いて宮中晩さん会が行われた。
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27日夜7時頃。トランプ大統領を乗せた車がゆっくりと進んで行く。トランプ大統領は車の中から手を振りながら、皇居へと向かっていった。
黒のちょうネクタイにタキシードを着て現れたトランプ大統領は、同じくタキシード姿の天皇陛下と、白いドレス姿の皇后雅子さまの出迎えを受けた。
開かれたのは、令和初の国賓として来日中のトランプ大統領夫妻を招いての宮中晩さん会。出席者は165人。秋篠宮ご夫妻や、長女の眞子さま。二女の佳子さま。安倍首相夫妻。山中伸弥教授らの姿も。
そして、会場に入られた両陛下とトランプ大統領夫妻。まず、陛下が次のようにおことばを述べられた。
「日米両国とその国民は、さまざまな困難を乗り越え、相互理解と信頼を育み、今や太平洋を隔てて接する極めて親しい隣国として、強い友情の絆で結ばれております」
おことばのあとに演奏されたのはアメリカ国歌。トランプ大統領は陛下の隣で胸に手をあてて聴いていた。曲が終わると…乾杯。出席者には、フランス料理のフルコースが振る舞われた。メインディッシュは牛肉料理で、トランプ大統領側の希望だという。
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食材に使われた野菜や乳製品は、皇室用の農産物などを生産する「御料牧場」などでつくられたものだ。デザートには、この牧場でとれた牛乳を使用。それが「富士山型のアイス」。宮中晩さん会恒例のデザートで、裾野には抹茶があしらわれているという。
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終始、和やかな雰囲気に包まれた晩さん会。今回、両陛下のご様子からうかがいしれるのが“新時代の皇室外交”だ。
ともに留学経験をもたれ、英語が堪能な両陛下。27日朝、秋篠宮ご夫妻を紹介された際も、通訳はナシ。長い時間にわたって立ち話をされていた。
宮内庁によると、即位後、外国の元首とは初めてとなる会見も、英語を交えながら約15分間、リラックスした雰囲気で行われたという。
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27日夜の晩さん会も、通訳を交えずにこやかに歓談されていた。実は、この晩さん会でも新時代の皇室外交を物語るある変化が。
2014年の宮中晩さん会では、国賓として迎えられた当時のオバマ大統領と上皇ご夫妻のあとに続いて、陛下や秋篠宮さまら皇族方が入場されていた。
しかし今回は、秋篠宮さまら皇族方はすでに着席した状態で両陛下と国賓を迎えられる形に。晩さん会をスムーズに始められるよう、ヨーロッパなどの例を参考に変えたという。
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トランプ大統領は上機嫌でこうスピーチした。
トランプ大統領「両国のますます繁栄する関係が次なる段階に歩みを進めるに際し、アメリカ国民は陛下のもとで、新しい時代を迎える日本の全ての人々に対し、幸運をお祈りしています。おめでとうございます」
27日午後10時ごろ、両陛下に見送られたトランプ大統領は、手をふって皇居をあとにした。