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万葉集、実はクラウド化の始まりだった?

2019年4月12日 16:06
万葉集、実はクラウド化の始まりだった?

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「新元号“令和”」。「Discover Japan」編集長の高橋俊宏氏に聞いた。

4月1日の新元号発表を受けて、NNNと読売新聞は世論調査を行った。新しい元号「令和」に好感を持っているかをたずねたところ、「好感を持っている」人は、合わせて6割を超える結果となった。また、「令和」が元号として初めて、日本の古典から引用されたことについては「評価する」が88%に達した。

一方、元号が変わる5月以降、普段の生活で「元号」と「西暦」のどちらをできるだけ使いたいかをたずねたところ、「どちらも同じくらい」が50%、「西暦」が24%、「元号」は22%だった。


――フリップをお願いします。

『1300年前からクラウド化』と書きました。この話に入る前に、2つのことを話したいと思います。実はひらがなは空海がつくったのではないかという、ひとつの伝承があります。今回、万葉集という国書が、元号の基になったという話がありますが、そもそも万葉集の時代は、万葉仮名という文字で書かれていました。つまり、(あまり意味のない)漢字を羅列しているんですね。

今回は、「梅花歌三十二首」という序文から採られたのがポイントで、序文というのは漢文で書かれています。つまり非常に意味のある文字が組み合わされています。日本の古典由来とは言いつつも、実は中国由来の名前になっているという背景があります。今まで元号は国民の安らぎなどが多かったんですが、今回は国土の美しさとか、四季の美しさとか盛り込まれていたのが画期的でした。

そこで『1300年前からクラウド化』に戻ります。そもそも万葉集自体が、天皇や貴族から農民、防人(さきもり)、いわゆる“よみ人しらず”みたいな、いろんな身分の人たちが詠んだ歌が入っているわけです。これって実は今でいう「クラウド化」で、実は日本は1300年前から万葉集というクラウド化を発明して、実践していたと。そういう意味で万葉集を再評価したいなと。


――当時を考えれば、みな遠くの人とは話をするような機会はないわけで、それを見ればいろんな人の生活ぶりがわかりますね。今思うとすごいですね。

そうなんです。そういう意味で画期的だったと思います。


――あの時代に生きていた人が、再び後世で注目されているというのは驚いているかもしれませんね。

そうですね。


■高橋俊宏氏プロフィル
幼い頃から父の影響で絵画や備前焼、刀剣などの伝統文化に触れてきた。出版社で建築やデザイン、インテリア雑誌の編集を経て2008年に雑誌「ディスカバー・ジャパン」を創刊。日本文化の魅力を発掘・発信し続けてきた。そして去年、そのブランド力を生かし、さらなる展開を視野に「Discover Japan」を設立。情報発信にとどまらず、日本文化の魅力をイベントや新規事業の開発に結びつける“日本文化のプラットフォーム”を目指す。


【the SOCIAL opinionsより】