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寄生虫ダイエット?小さな生物のパワー活用

2019年4月12日 20:25
寄生虫ダイエット?小さな生物のパワー活用

お花見シーズン、「花より団子」で食べ過ぎてしまった人も多いのでは?そんな中、新たなダイエットの研究結果がアメリカの科学雑誌で発表された。それは「寄生虫ダイエット」。そして、研究を進めるのは日本人。一体、どんなダイエットなのだろうか。

◆ダイエットしたことがある人は…

ダイエットしたことがあるか、街の人に聞いてみると──

大学生(21)「痩せたいなと思ったときに、炭水化物を抜いたりとか」

会社員(29)「食べない代わりに酵素ドリンク飲むみたいなのはやったことある」

ダイエットをしたことがある人は、少なくないようだ。

そのダイエットについて、今週、アメリカの科学雑誌『Infection and Immunity』である日本人の研究結果が発表された。

──寄生虫で肥満を抑制

一体どういうことなのだろうか。研究に携わった群馬大学大学院医学系研究科の下川周子助教に話を聞くと──

下川周子助教「寄生虫を感染させて腸内細菌を変えることが、体重の増加を抑えるメカニズム」

この寄生虫には一体、どんな働きがあるのか。

◆寄生虫でダイエットの仕組み

実験は、群馬大学と国立感染症研究所のチームがマウスを太らせながら行った。マウスの腸に寄生虫「ぜん虫」を感染させると、腸内バランスが変化し、代謝を高める遺伝子が体内に多くあらわれる。すると、脂肪が燃やされ、寄生虫に感染していないマウスと比べ体重の増加が1か月ほどで約2割抑えられたという。

今後は、寄生虫のどの物質がマウスの腸内バランスを変化させたのか調べ、寄生虫を使わないかたちでヒトに応用できる方法を研究したいとしている。

◆“小さな生物”活用は他にも

一方、道路を走る緑色のバス。実はこのバスに欠かせない“あるもの”に、小さな生物が使われている。それは藻(も)の一種「ミドリムシ」で、これを使った“あるもの”とは──

ユーグレナ・バイオ燃料製造実証プラント 森山宏一郎工場長「バイオ燃料を製造することを行っています」

なんと、「燃料」だ。このバスの燃料の一部を、ミドリムシをもとにつくっているという。

光合成で育ち、環境さえ整えば大量に培養できるというミドリムシ。この会社では、ミドリムシを粉末にし、そこから抽出した油と使用済みの天ぷら油などを合わせ精製、燃料をつくっている。

ただ、課題も残っている。

ユーグレナ・バイオ燃料製造実証プラント 森山宏一郎工場長「精製コストが非常に高い。商業化に向けては、ランニングコストをいかに下げるか」

現在は、提携する自動車メーカーで実証実験が行われているが、今年の夏から実用化される予定。

◆実は“微生物”ですでに商品化

一方、すでに商品化されているものも。

都内の雑貨店で販売されているお風呂グッズ『ウォールステッカーバス(1944円・税込み)』のウラを見てみると、成分の欄に「微生物」の文字があった。この“微生物商品”、実はお風呂の壁に貼りカビを防ぐというシール。中に入った抗菌作用を持った微生物が、お風呂のような湿度が高い環境で活発に活動し、カビを防ぐ物質を放出するという。

ミドリムシに寄生虫や微生物。小さな体には大きな可能性が詰まっている。