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5年で約10倍…“バニラ高騰”影響と対策

2019年3月20日 19:59
5年で約10倍…“バニラ高騰”影響と対策

止まらない食品の値上げ。中でもアイスの値上げが相次いでいて、背景の一つとしてバニラの原料の高騰が指摘されている。菓子作りの現場全体に広がるその影響とは?

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■人気メニューがピンチ…菓子店悲鳴

都内にある洋菓子店。フランスの焼き菓子を中心に約20種類のメニューを販売している。人気メニューの一つが、カスタードがたっぷり入ったシュークリーム。しかし、店ではある懸念が。

パティスリーレザネフォール・菊地賢一代表取締役「もうバニラを使っているメニューをやめるしかなくなってしまうので」「状況はひっ迫しています」

さらに、こうした動きはアイスにも。「ハーゲンダッツ」は6月の出荷分から20品目ほどのアイスクリームを値上げすると発表した。対象となるのは、ミニカップやクリスピーサンドなどで、20円から100円ほどの値上げを予定している。

こうした要因の一つとなっているのが、植物のバニラの種を加工したバニラビーンズの高騰だ。輸入を行うメーカーによると、日本ではその輸入の8割ほどをマダガスカル産に頼っているが、2017年の台風の影響などで生産が減少。さらに、中国などでは需要が拡大していることが要因だという。6年前は1キロの平均価格が約6000円だったものが、2018年には約6万円にまで上がり、10倍ほどの価格になっていた。

パティスリーレザネフォール・菊地賢一代表取締役「(仕入れ価格は)2~3年前だと、1キロ1万5000円ぐらい。今現状ですと、1キロ12万円から13万円ぐらいになっています」

仕入れ価格が高騰しているため、香りづけなどに欠かせないバニラビーンズを購入するのが難しい状況に。シュークリームの他に、フランスの焼き菓子・カヌレにも影響が出ているという。

では、どんな対策を取っているのだろうか。カスタードクリーム作りを見てみると…。バニラの風味を少しでも出すため、バニラビーンズより安く手に入るというバニラペーストなどの代用品で対応していた。


■あの北海道土産にも…メーカーは独自対策

一方、大胆な試みで対応しようとする動きも。北海道土産の定番「白い恋人」は、ホワイトチョコの風味を豊かにするため、バニラビーンズは欠かせないという。一体、どんな対応なのか。

取材班は札幌市内にあるビニールハウスに向かった。「白い恋人」を製造する「石屋製菓」では、バニラの価格高騰に対応するため、2017年から自社でバニラを栽培。バニラは低温に弱いため、暖かいハウスでの栽培が適しているという。

石屋製菓・新規事業支援室 澤田修平主査「自社で使う分だけではなく、販売の方もしていきたいなと」

来年の出荷を目指しているという。