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JR、思い切ったダイヤ改正の背景とは?

2019年3月15日 15:56
JR、思い切ったダイヤ改正の背景とは?

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「鉄道ダイヤ改正、だれのため?」。日本テレビ社会部の猪子華記者に聞いた。

3月16日は、JRをはじめ、鉄道各社のダイヤ改正が行われる。中でも話題となっているのが、JR東日本のダイヤ改正。ポイントは2つあり、まず、山手線の内回り、品川行きの最終電車が約30分早くなる。もう1つは、中央本線の特急「あずさ」の停車駅が減ることだ。

このダイヤ改正についてネット上では「終電、むしろ遅くしたほうがいいと思うけど」「率直に言って、困る」「労働力不足?働き方改革なら仕方ない」といった声が聞かれた。


――「困る」という声も上がっているようですが、今回はどういう改正なのでしょうか?

JR東日本は『全体のプラスになる』としています。まず、山手線ですが、内回りの終電はこれまで品川どまりでした。これが、一つ手前の大崎どまりに変更になったんです。その結果、品川まで来る内回りの山手線の終電が、現在の午前1時19分から27分早い0時52分になったということなんです。


――いわゆる最終電車が品川まで行かないということですね。品川駅を利用する人は注意が必要ですね、何故なんでしょうか。

これは品川駅で計画されている駅改良工事の影響なんです。JRと京急線の乗り換えがしやすくなるなど、駅の構造が変わるような大規模な工事なんですが、これまで、品川まできた山手線の終電が最終的に運ばれる「留置線」とよばれる線路が、なくなることになったんです。

終電が品川駅にとめられないため、車両基地の最寄りの大崎どまりになったんです。もともと品川駅に着く1時19分には、すでに乗り換えられる電車もほかになく、利用者も限られているという実態もあって、このような改正になったということです。


――留置線が撤去されるということは、将来的には、品川駅にどういう影響がでるんですか。

構造的に分かれていたJRと京急が平面化し、乗り換えしやすくなると予定されています。


――そしてもう1つ、特急あずさの停車駅が減るということについては、どうしてなんですか?

これは、主要駅の間の所要時間短縮が狙いです。今回の改正では、新宿駅と長野県の松本駅と所要時間が下り列車で平均6分短縮されます。その結果、あずさがとまらなくなる駅や、とまる列車の本数が減ってしまう駅が出ることになりました。


――沿線の自治体からは反対の声も上がっているようですが、JR東日本はどう考えているんでしょうか。

特にとまらなくなる駅の周辺からの反対の声は大きく、沿線の自治体がJR東日本に現状維持をもとめて要望に訪れたりしています。JR東日本は、停車駅の多い特急「かいじ」を引き続き運行することや、利用客が多い休日を中心に臨時列車を運行するなど利便性を確保していくとしています。


――ダイヤの改正はすごく影響があると思いますが、今までダイヤ改正はどれぐらいあったんでしょう。

JRのダイヤ改正は、32年前のJR発足以降、今回52回目で、1年に1回以上行われています。私が取材をするようになってからこれほど注目されたのは初めてですが、今後の改正でも利用者の利便性がどのように追求されていくのか、注目していきたいと思います。


【the SOCIAL opinionsより】