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桜がピンチ!“原因生物”駆除に謝礼案も

2019年2月28日 20:27
桜がピンチ!“原因生物”駆除に謝礼案も

徐々に春が近づいているが、毎年、大勢の観光客が訪れる桜の名所がいま、ピンチに。行政は、市民に「50円あげます」と協力を求めようとしている。一体、何が起きているのだろうか。

◆“桜の名所”に異変が…

川沿いで咲き誇るみごとな桜は、群馬・館林市の『鶴生田(つるうだ)川の桜』。300本以上のソメイヨシノと川の上につるされたこいのぼりを見ようと、毎年、開花時期には大勢の観光客が訪れる。しかし、この桜に異常事態が!

27日にその川岸を訪れると、多くのソメイヨシノに青いネットが巻かれていた。実はこれ、館林市が桜を“ある外来生物”から守るために巻いている。生物を見たことがあるという地元住民は…

地元住民「素手では捕まえられないから。かじられる」「ちょっと見た目が怖いから」

その正体は、中国やベトナムなどが原産の特定外来生物『クビアカツヤカミキリ』。名前の通り、首の部分が赤く体にツヤがあるのが特徴だ。本来、日本に生息していないが、7年前に初めて愛知県で見つかり、現在までに群馬や東京など7つの都府県で確認されている。

◆『クビアカツヤカミキリ』の被害とは?

主に桜の木を好むというこの外来カミキリ。どんな被害を及ぼすのだろうか。

館林市・市民環境部地球環境課 関口和之係長「排出口といって幼虫が(木を)かみ砕いて出してきた粉です」

この“木くず”こそがカミキリがすみついているサイン。木に直接悪さをするのは、幼虫だ。幼虫は幹の中で2年ほど暮らし、その間、内部を食い荒らす。木が弱まって花が咲かなくなり、さらに木を枯らしてしまうこともあるという。

すでに手遅れになり、根元から伐採された桜も。

地元住民「桜の木がなくなっていってしまうのではないかってほど切っているのよね、あちこちね」「ここの風景がちょっと崩れてしまうのかなというのも、心配なことではあります」

『鶴生田川の桜』は、危機にひんしている。

さらに被害はほかの場所でも。毎年、自慢の桜並木で新入生を迎えてきた館林高校だが、28本の桜全てが『クビアカツヤカミキリ』の被害にあい、倒木を防ぐため、うち6本を伐採したという。

群馬県立館林高校 齋藤正章校長「ここ28本並木があったけど、去年とおととしで6本切って、いま22本になっています」

◆市長が口にした“作戦”

これまで館林市は、職員による捕獲やネットを巻き付けるなどの対策を講じてきた。それでも被害拡大が止まらないため、今月、市長が“ある斬新な作戦”を口にする。それは…

館林市 須藤和臣市長「(クビアカツヤカミキリを)捕殺してくださった方にはポカリスエットを差し上げるとか、あるいは1匹50円(と交換)とか」

飲料水との交換や、1匹につき50円の謝礼。つまり、市民に協力をあおぐ人海戦術を計画しているのだ。

『クビアカツヤカミキリ』は、初夏に成虫となり姿を見せ始める。官民協力の捕獲作戦は実行されるのだろうか。