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三菱地所社長が語る“丸の外”の戦略図 2

2019年2月20日 13:35
三菱地所社長が語る“丸の外”の戦略図 2

三菱地所株式会社・吉田淳一社長に聞く「飛躍のアルゴリズム」。2つ目のキーワードは「オフィスは“フリーアドレス”、部長も席なしのワケ」。三菱地所の新社屋には自由に座れる席の制度や、約1万人が見学に来たという先進的なカフェがあるという。


■席は自由に座ってOK


――先日、大手町の新しい社屋に伺って、本当にびっくりしました。みなさん席が決まっておらず、自由に座れるんですよね。

そうですね。その日その日によって、「話し合いたい」「打ち合わせしたい」社員同士が、近くに座っています。従来は部署ごとに、完全に壁に仕切られているような古いオフィスだったんですが、今はフリーアドレスということで、おおまかに、部署単位でゾーニングはだいたい決まっているんですが、毎日、どの席に座る、あるいは部長の隣に座るなどを含めて、非常に自由な配置になっております。


――今回のコンセプトは「ボーダレス」と「ソーシャライジング」とうかがっています。やはり心理的な壁を取り払うということなんでしょうか。

そうですね、そこが一番大きい要素かと思っております。「ボーダレス バイ ソーシャライジング」ということで、心理的な壁、あるいはこだわりみたいなものを取り払って、交流していくということが、一番大切な新しい事業を生み出すための新しい発想ができる空間づくりということになります。


■朝食は無料、夜はアルコールも


――スパークルというカフェにも伺いましたが、ちょっとびっくりしたのはお酒のビンが置いてありました。

スパークルは朝から晩まで利用できます。昼休みの時間だけはランチの場所になりますが、それ以外は外部の人とカフェ風の打ち合わせができますし、夕方の5時以降は、アルコールも提供していますので、仕事が終わって、軽く打ち合わせの反省会をやるとか、1次会をやるなどを想定しています。


――あと、朝食が無料で提供されるそうですね。

やはり働き方改革の中では、早めに出社して、早めに帰宅するということも大事だと思っています。東京都なども「時差ビズ」という形で推奨していますので、朝早く来て、おにぎりやパンなどの軽いものを食べて仕事に入ると、いうようなこと推奨しています。


■アイデアを出したのは若手・中堅社員


――行くだけで楽しそうなオフィスですが、アイデアはどなたが出されたんでしょう。

このプランニングは、私は一切口を出さないで、若手・中堅社員のファシリティーマネジメントを考える担当に完全に任せました。最初に「交流が促進されるような空間をつくってほしい」というコンセプトのすり合わせだけはしましたが、具体的にどんな中身をどういう風に取り込むというのは、若い人たちが将来の自分たちが働きたい環境というのは何だろうというのを自由に発想してもらって、つくり上げてくれました。

これも働き方改革というだけではなくて、会社のあり方そのものを変えていくような空間になります。日々変わる要素が必要かとも思っているので、毎年新しいニーズを取り込んで変えていくということも考えています。このオフィスは壁などもありませんので、そういったことにも取り組んでいきたいなと思います。


――他の会社から見学されている方も多いそうですね。

去年、約1万人の方に見ていただきました。現在もそういう要望をいただいています。