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金正恩氏へ直接メッセージ なぜ今?

2019年2月18日 16:38

北朝鮮による拉致被害者の家族と支援団体は17日、金正恩委員長本人に向け、被害者の帰国を決断するよう訴える初めてのメッセージを発表した。社会部拉致問題担当の猪子華記者に聞く。

Q:メッセージは金正恩委員長あてということで、家族会の飯塚代表らの直筆の署名がされている。なぜ今このようなメッセージを出したのだろうか。

北朝鮮をめぐっては、去年6月に、史上初の米朝首脳会談が開かれ、今月末には2回目の米朝首脳会談も予定されるなど、外交面での動きが続いている。家族らとしては、金委員長が「対話の姿勢」に出ている今だからこそ、直接訴えることに意味があると考えたということだ。

Q:また、「全被害者の即時一括帰国が実現するのであれば、私たちは帰ってきた拉致被害者から秘密を聞き出して、国交正常化に反対する意志はありません」とあるが、どういう狙いだろうか。

北朝鮮側には、拉致被害者を帰せば、内部の秘密をばらされるのではないか、また、国交正常化交渉に家族から反対されるのではないか、との懸念があると言われている。そのため、家族としては「被害者を帰してくれさえすれば、北朝鮮を困らせるようなことはしない」という思いを、メッセージとして、改めて示したという。

拉致問題が解決されないまま時間だけが過ぎ、高齢になった家族の中には再会を果たせないまま亡くなった方もいらっしゃる。時間がない、一刻の猶予もならない状況で、金委員長に求めるのは、「すべての被害者の一刻も早い帰国だけだ」という、家族の切実な思いがメッセージには込められている。