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「環境に優しい農業」挑戦してみたい人へ

2019年2月13日 15:52
「環境に優しい農業」挑戦してみたい人へ

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「環境に優しい農業、取り組みたいけれど…」。「坂ノ途中」代表・小野邦彦氏に聞いた。

農林水産省が農家1000人を対象に行った調査によると、「今後、どのような栽培方法に取り組みたいか」との質問に約7割が、「農薬や化学肥料を減らした栽培方法」と答えた。一方で、技術開発を期待する分野で最も多かったのが「低コスト・省力化」となり、環境に配慮した農業に関心が高い反面、コスト削減が課題となっていることが浮き彫りとなっている。

――フリップをお願いします。

『根性に逃げない』と書きました。環境に配慮した農業に取り組みたい人は、しっかりした志を持っているので、その分、とりあえず根性でやってみようとなりがちなんです。ですが、今、この分野では10年、20年かけて、いろんなトライアルが行われてきて、知見が蓄積されています。水はけや日当たり、機械設備などの条件にあわせて、こういう営農スタイルが、勝率が高いんじゃないのかとある程度出てきています。ですので、まず周りの知見を集めて、客観性を持つというのがいいのかと思います。

私たちの例を挙げると、就農準備トライアスロンという名前で、就農を迷っている方に1週間で新規就農のリアルをまとめて体験するというプログラムを持っています。このプログラムを通じて、「自分は大規模な農業に憧れているんだ」とわかって北海道で就農された方もいますし、あるいは「こんなに冬は寒いと思わなかった」と就農自体をやめた方もいます。農業は本当に多様なので、そういうまずリアルを体験して、選んでいってもらうというのが、大切かと思います。

――一方で、環境に優しい農業と低コストは、相反するように見えますが。

お金もそうですが、手間がかかることが多いです。基本的に人間の力でやらない、他の、例えば微生物の力を借りて土作りをするし、昆虫の力を借りて防虫するという形…いろんな生物や環境の力を借りていくというスタンスが大切かなと思います。

――消費者の理解という面はどうでしょう。

私たちも季節に合わせて、丁寧に栽培していくとおいしいことも多いんですが、大雨の後はどうしても水っぽくなったり、曇りが続くだけで、味が薄くなるんですね。その時に前と味が違うといって怒るんじゃなくて、その“ブレ”自体を楽しんでいただけるようなお客さんが増えてくれるとうれしいなと思っています。


■小野邦彦氏プロフィル
「坂ノ途中」代表。農薬や化学肥料に頼らずにつくられた農産物の販売などを行っている。大学時代にバックパックで世界を旅する中で、「環境への負担の小さい農業を広げることを仕事にしよう」と決断。卒業後、修業期間として外資系金融機関で2年間働いたのちに起業した。目指すのは、環境負荷の小さい農業を実践する農業者を増やし、持続可能な社会をつくること。有機農業などに取り組む新規就農者が生産する400種類以上の農産物を販売。少量で不安定でも、質のよい農産物の販路の確立などに取り組んでいる。


【the SOCIAL opinionsより】