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「延期案」採決へ 英“EU離脱”の行方は

2019年1月30日 0:40

イギリスの「EU離脱」問題は、「離脱延期案」が出され議会で採決される、重要な局面を迎えている。イギリス・ロンドンから亀甲支局長が伝える。

<これまでの経緯>
◆“合意なき離脱”の可能性…

イギリスでは、3年前の2016年、国民投票でEUからの離脱が決まって、その離脱期限が今年3月末に迫っている。

しかし、今月、政府がEUとの間でまとめた「離脱協定案」が議会で否決されて、合意がないまま離脱をするとなると、「EUからモノが入ってこなくなる」などイギリス国民の生活が大混乱に陥りかねない事態なのだ。

◆離脱“延期”案が浮上

この事態はやはり避けたいので、今度は議会の中から「新しい案」が出てきた。それは、もし政府案がまとまらなければ「最大12月まで離脱を延期しよう」というもの。

この「離脱延期案」について、この後、議会で採決が行われる。

<今後の見通し>
◆「延期案」が通る、通らないで、今後どうなってしまうのだろうか?

イギリス議会の中に来ている。後ろにある扉の向こうに本会場があって、関係者が慌ただしく出入りしている。中ではあと4時間余りに迫った投票に向け、討論が続いているところだ。

メイ首相は、EUと合意してもしなくても、とにかく3月29日に離脱する、と繰り返し明言している。しかし、この延期案が最終的に成立してしまうと、今後、議会を無視して強引に離脱することはできなくなってしまう。

離脱の延期については、そもそもEUが応じるのか見通せない部分はあるが、少なくともメイ首相の求心力が今以上に低下することは必至で、さらに状況は混乱することになる。

◆もし延期となったら、その間にイギリス国内の世論も変わってきたりしないのか?

その通り。この朝も議会の前では離脱に賛成する人、反対する人が抗議活動を繰り広げていた。去年までは、こうした活動は非常に小規模なものだったが、議会の混乱が長引くにつれ、双方の動きはますます活発になっていると感じる。

いずれにせよ、メイ首相にとっては離脱の延期によるさらなる混乱は避けたいところで、延期案の採決をそもそも見送ることも含め、抵抗することが予想される。