わさびおろし金 おろし面にはわさびの文字
わさびのおろし金がネット上で話題となっている。見た目は普通のおろし金だが、実は「あるデザイン」がわさびを、おいしくしているのだ。
わさびをすりおろしているところ、おろし面をよく見てみるとある言葉がぎっしり…それは“わさび”。
ステンレスの板に刻まれた無数のわさびの文字がおろし面の“本わさび専用おろし板 鋼鮫(はがねざめ)”。
ジョークのような見た目だが、料理人も高く評価するほどおいしいわさびをすりおろせる。おいしくするには鮫皮のおろし板を使うのが定番だが、鮫皮のものと比較すると鋼鮫のわさび文字おろし器はよりきめ細かい仕上がりになる。
開発したのは山本食品の山本豊さん。三島で4代続く老舗わさび店を経営している。きっかけを聞いてみると…
山本さん「お客さんからの声でわさびが辛くないとよく聞いた。聞いてみるとわさびが辛くないわけではなく、わさびのすり方を知らない人が多かった」
家庭用のおろし金では、本わさびの風味を引き出すことが難しいのだ。そこで、誰でもおいしくすりおろせる道具を作ろうと一念発起。鮫皮模様に近いランダムな模様を彫ってみたり、丸や三角や星型など様々なパターンでテストした。どれもうまくいかず、暗礁にのりあげるなか試しにひらがなの“わさび”で作ってみたところ、よりおいしくすりおろすことができたのだ。
ここに至るまで約300種類を試作した。なぜおいしくなるのか?わさびの文字にはすべて真ん中に円空間があるので、おろす際に回転運動が生じ、細かくすりおろすことができる。さらに偶然だが、上下左右4方向にすき間があいていたため、多くの空気が含まれることになったのだ。これらの働きにより、クリーミーで粘りもあり、辛味も風味も際立つわさびをすりおろすことが可能になった。
おろし面は金属を溶かす“エッチング”加工を採用。一つ一つ職人が仕上げていく。
ちなみに現在出荷している商品には“わさび”ではなく“わびさび”になっているところが1つある。実用性も遊び心も兼ね備えた一品だ。
【the SOCIAL viewより】