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災害住宅が“ネコ屋敷”で荒れ放題…ナゼ?

2018年12月27日 19:48
災害住宅が“ネコ屋敷”で荒れ放題…ナゼ?

東日本大震災の被災者のための災害公営住宅が、ネコのすみかになっていた。宮城県気仙沼市は27日、ネコを住まわせている女性に対し、部屋の明け渡しを求め、提訴した。

◆被災者が入居するはずの公営住宅に“ネコだけ”

宮城県気仙沼市にある、東日本大震災の被災者が入居する公営住宅。遠巻きに見ると、窓には何匹ものネコがひなたぼっこをする、平穏な光景。しかし、わずかに見える室内にはチラシなどが散乱。さらに、部屋のカーテンは真っ二つに破れ、ネコが鋭い視線でこちらをにらんできた。

実はこの住宅、ネコしか住んでいないという。

近所の住民「ネコしか住んでねぇ」「1匹2匹じゃないからね。10匹だよ、10匹」「“ネコのいる所”って言ってる」「ネコ屋敷」

◆“ネコだけ”になった経緯は?

実は27日、気仙沼市は、この住宅を占有している女性に対し、明け渡しを求め“提訴”に踏み切った。その理由が──

気仙沼市建設部 建築・公営住宅課 村岡直人課長「本年6月に入居者の方が亡くなられたんですけど、他県に住む近親者の方が中に大量の荷物とネコを残置した状態で、明け渡しがなされない状況」

もともと入居していた80代の女性が亡くなったにもかかわらず、埼玉県に住む50代の娘が、ネコや荷物を残し、明け渡してくれないという。

市によると、80代の女性が入居したのは3年前の2015年9月。介護のため、特例で埼玉在住の50代の娘の入居も認めたという。しかし、翌年の2016年4月には80代女性が入院。その後の2016年6月、「家にネコだけが住んでいる」という情報が市に寄せられる。

さらに、今年6月には80代女性が死去。そのため、50代の娘はここで建物を明け渡さなければならないが、そのまま放置。市は、娘が単独で住宅を使うことは認めていないため、明け渡しと、損害金など約850万円の支払いを求める提訴に至った。

◆近隣住民も“ネコ屋敷”に困惑

また、近隣住民も、この問題に頭を悩ませていた。

近所の住民「ネコのにおいで酔ってしまって大変。ネコのしょんべん臭い」

夏場には、ネコのおしっこが外までにおってくることも。

また、この住宅に入ったことがある民生委員によると、室内は荒れ放題な上、ネコが繁殖しているという。

住宅に入ったことがある民生委員「壁紙が天井から全部床に落ちてたりとか、ものすごい荒れよう。時期がくると3匹くらいずつ子猫が生まれて」

また、50代の娘は、埼玉県から定期的にネコのエサやりに来ているというが──

住宅に入ったことがある民生委員「私たちが声かけようと思っても、『今、忙しいですから後で後で』とサーッと忍者のごとく」

NNNは27日、埼玉県に住む50代の娘に取材を試みたが、連絡が取れず、真意を聞くことはできなかった。