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「私たちは数字じゃない」障害者雇用の課題

2018年12月18日 14:13
「私たちは数字じゃない」障害者雇用の課題

世の中で議論を呼んでいる話題について、意見を聞く「opinions」。今回の話題は「障害者雇用水増し問題、対策は進むか?」。中央省庁で、雇用する障害者の数を水増ししていた問題で、政府は、2019年中に法律で定められている雇用率を達成するため、約4000人の障害者を新たに採用する目標を発表した。

ネット上では「ただ採用すればいいというわけではない」「障害者雇用は数値目標にすることではないと思う」「態勢が不十分な採用は現場が混乱するだけ」などの意見がみられた。
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――フリップをお願いします。

『私たちは数字じゃない』――私も障害者雇用でたくさん働いてきた経験があるんですが、「君は座っているのが仕事だよ」って言われ続けてきたというつらい経験があります。今回の水増し問題の件は、かなり心が打たれたと同時に、怒りもこみ上げてきていて、複雑な気持ちです。


――改めて数字だけ見てみると、「約4000人を新たに採用する目標」だけに絞れば、すごく前向きなことをうたっていると感じるニュースですが。

そうですね、でもやはり私たちは数字ではないので、それが目標になってしまっていること自体が間違っているかなと思います。やはり一握りでもいいから、しっかり向き合って、しっかり働ける体制や人間性のつくり方をしっかり見直して、1人ずつでもいいから確実に私たちを社会に出していってほしいと強く願います。


――視覚障害者である松田さんも新たな特技を見つけて活躍されていますが、社会は、どんな方向性に向かっていったらいいと思いますか。

やはり働いていきたいという思いを持った障害を持った方はたくさんいますので、どういうことに適性があるのかということにじっくり向き合ってもらって、しっかり進んでいけるような体制づくりをしていってほしいと強く思います。


――企業側にはどんなことを求めたいですか。

働いてみてわかったことですが、実際問題どうやって私たちを雇用して仕事を見つけていったらいいのかわからないということが実情としてあるので、やはりそれをコンサルするような方、間にはいってくれるような方がもっと増えてくれればいいかなと思います。


■松田昌美さんプロフィル
テープ起こし専門の「ブラインドライター」松田昌美さん。静岡県で生まれた松田さんは生後、医療ミスにより、両目の視覚障害と両下肢障害が残った。浜松視覚特別支援学校を卒業後、仕事を求めて単身で上京するも、障害を理由に思うように仕事を任せてはもらえなかった。転機は2015年、29歳のとき。視覚障害がゆえに磨かれた聴力を生かし、副業でインタビューなどの録音を書き起こすテープ起こしを始めたところ、その仕事ぶりが評価されるようになった。現在は独立し、ブラインドライター・タレントとして活躍している。


【the SOCIAL opinionsより】