世界の働いて学べない子供 その背景知って
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「世界で多くの子ども、働いて学べず」。世界各国でソーシャルビジネスを展開する田口一成氏に話を聞いた。
ILO(=国際労働機関)の発表によると、世界の5歳から17歳の子どものうち、国際条約によって原則禁止されている「児童労働」に従事している子どもは2016年時点で約1億5200万人いると推計されている。
また、義務教育を受ける年齢にあたる5歳から14歳の児童労働者のうち、3分の1にあたる3600万人ほどが学校に通えずに働いている。
ネット上では
「“働きたい”と“働かねばならない”は違う」
「支援をするならモノやお金より教育」
「発展途上国では子どもは労働力」
といった声が聞かれました。
――田口さん、この結果いかがでしょうか?フリップをお願いします。
「3600万通りの理由」です。
児童労働はもちろんだめだと思います。だめなんですが、その背景を知ったうえで実際の対策を考えていくことが必要です。何で学校に行っていないのだろうか、何で児童労働しているのかということを考えなければだめです。
例えば、学校に行くお金がない。小学校までは無償だったりするのですが、中学校からは授業料が発生したり、学校が遠くなるので交通費が必要になる。そうなったときに経済的な理由で行けなくなる。そういう場合、奨学金を提供することが必要だろうし、もしくは親自身が学校に行くことの意義がわかっていないということもあります。
どうせ農家をやるのだから、もう働いてくれたほうがいいよ、学校に行ってもしょうがないと。そういった場合、やはり啓もう活動とあわせて、子どもが学校に行くことで得られるマイクロファイナンスを提供するのでぜひ、子どもを学校に行かせてはどうでしょうかという提案をしていくことも大切だと思います。
また、子どもは学校に行きたい、親も学校に行かせたい、しかしスラムに住んでいる方たちなどは住民票がないから、それで学校に行けないとかそういうこともあるんです。そういった場合は、住宅提供というかたちからのソリューションをやらないといけないし、3600万人には3600万通りの理由があってそこを考えて、ひとつひとつ対策をしていくことが大切です。
こういうニュースを見る僕らもただ見て終わりではなくて、例えばそういう活動をやっているNGOに寄付するとか、そういう支援をするために雇用をつくろうということでお母さんたちの雇用をつくろうとプロダクトづくりをやっているところもあるんです。
そういった製品を買うことで、その取り組みに参加することもできるんですよね。例えば、僕らのボーダーレス・ジャパンもそういう取り組みを具体的にやっていまして、バングラデシュの貧しい家庭、子どものある家庭のお母さんを工場に採用して子どもを学校に行かせてくださいという条件で仕事をつくっています。ベビー服のハルウララというブランドがあるのですが、それを日本で提供しています。そういったものを買うという支援の仕方もあると思います。
――その地域では、あまり勉強を推奨しないという親も多いと、そういう取り組みがあるだけで勉強をさせようという動きも広がっていきそうですよね。
いま、自分たちのスタッフがインドに入っていて、現地で調整をやっています。さっきもスカイプで打ち合わせをやっていました。
――どうでしたか?
ほとんどの親が子どもを学校に行かせたいと言っているんです。学校に行きたいと言っている子どももすごく多いんです。なんとかサポートしてそういう社会をつくっていけるよう頑張りたいと思います。
【the SOCIAL opinionsより】