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100年前の映画館“守った”82歳の物語

2018年11月29日 15:41
100年前の映画館“守った”82歳の物語

1914年(大正3年)にできた「本宮映画劇場」。築104年の館内には銀幕スターの写真やポスター、当時のままの看板や館内広告が…レトロな雰囲気に包まれ、まるでタイムスリップしたかのようです。

館主の田村修司さん(82)。幼いころからこの場所で多くの時間を過ごしてきました。映画だけでなく大衆演劇なども行われ、多くの人がこの場所に詰めかけました。経営していたのは田村さんの父・寅吉さん。田村さんも仕事を手伝いました。

しかし、1956年に寅吉さんが亡くなり、20歳の田村さんが跡を継ぐことになります。そのころテレビも普及し始め、次第に経営難となり、1963年にやむなく閉館することに…。

定年後、必ず映画館を再開すると心に決め、田村さんは自動車販売の仕事につきます。再開した時きちんと動くようにと、45年間、映画館のメンテナンスを欠かさなかった田村さん。稼働できるカーボン式の映写機があるのは、気付けば日本でここだけになっていました。

そして2008年、田村さんが72歳の時、ついに映画館を復活させ、長年の思いを叶えました。

「子どもの時もここで遊んでいたから、自分の家と同じ気分なの。どうしても手放すのが嫌だった。劇場を再開しようと思ったから、ここは売らなかった。守ったの」

映画館と一心同体の田村さんは、これからも思い出が詰まったこの場所を守っていきます。

【the SOCIAL viewより】