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めぐみさん拉致から41年…弟の切実な思い

2018年11月22日 17:48

横田めぐみさんが北朝鮮に拉致されて、今月で41年。長すぎる戦いに高齢になった両親の心も体も限界に達している。そんな両親に代わって救出活動の先頭に立っている、めぐみさんの双子の弟が私たちの単独取材に、両親と姉を会わせたいと切実な思いを語った。

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家族の写真を眺める男性。横田拓也さん(50)。姉は41年前、北朝鮮に拉致された。

拓也さん「これは自宅の近くの日本海から佐渡島を見ている風景。どこのご家庭にもこういう普通の切り取られた一枚一瞬があって、ここからいきなり1人がいなくなるということですから、子どもは子どもでつらいけど、親の方がおそらくつらかったと思います」

姉・横田めぐみさんが北朝鮮の工作員に突然拉致されたのはわずか13歳の時。双子の弟の1人である拓也さんは当時9歳。仲の良い3人姉弟だったという。

拓也さん「本当に弟から見ても元気で明るい姉でしたから、いなくなった後は家の中はものすごく会話が少ない感じでした」

家族の太陽だっためぐみさんを奪われた41年。娘の生存を信じ、救出活動を続ける両親。その姿を、拓也さんはずっと間近で見てきた。

現在、父・滋さんは86歳、母・早紀江さんは82歳に。以前のような活動はできなくなった。滋さんは入院生活を送るようになり、早紀江さんは毎日病院で見舞いながら、できる限り活動を続けている。果たせぬ、親子の再会。

拓也さん「せめて親の世代が会えてほしいというのは本当に心から思います。かわいがっていた父なんかは絶対に会いたいと思っているし、母ももちろん同じだと思いますし」

出口の見えない戦いは、高齢になった両親を肉体的にも精神的にも追い詰める。2人は去年の取材で焦りをにじませていた。

早紀江さん「本当に急いでもらわないと。お父さんがめぐみちゃんだとわかる間に会わせてあげないといけませんと、いつも言っているんですね」

両親と姉を会わせてあげたい…拓也さんはその一心で、両親が中心となっていた救出活動を自分たちが先頭となってやっていく覚悟を固めた。しかし、長すぎる戦いにやるせなさを隠しきれない。

拓也さん「国家間の主権侵害の問題を、なぜ親子の世代を超えてまで受け継がなくてはいけない宿命を負ってしまうのか。親の世代の方々が他界されたケースは多くあるし、本当に時間のせまった問題」

去年9月、国内だけでなくアメリカも訪問し、政府関係者らに拉致問題解決への協力を呼びかけた。そんな家族の思いが届いたのか。去年、国連総会の場でトランプ大統領がめぐみさん拉致について演説した。

トランプ大統領「北朝鮮は13歳の日本人の少女を拉致した」

さらに今年6月。史上初の米朝首脳会談の場でトランプ大統領が直接、拉致問題について言及した。

トランプ大統領「非核化とあわせて安倍首相からも強く言われていたので、もちろん拉致問題についても話したよ」

“拉致問題が動くかもしれない”そんな家族の「期待」に対し、先月から拉致問題担当相を兼務することになった菅官房長官は――

菅官房長官「2002年に5人の拉致被害者の帰国が実現してから今日に至るまで、1人の(被害者の)帰国もできていない。政府としては、大変申し訳なく思います。心からおわび申し上げたい」

そして、“解決への決意”を力強く語った。

菅官房長官「ご家族の方を考えた時に、もう一刻の猶予もないということも、(拉致問題に)携わってきてからずっとそういう思いで今日まで取り組んできていますので。拉致被害者のみなさんは全員生存している、そういう判断を政府はしているので、そういう中で一日も早く奪還したい、帰国させたい、つなげたい」

姉と引き裂かれた41年。横田めぐみさんの弟・拓也さんには、再会したら姉に真っ先に言わなければならない言葉がある。

拓也さん「姉が帰ってきたら『おかえりなさい』の前に『ごめんね』という言葉が先に出ると思う。何もしてこなかったわけではないし、両親は身を削って救出活動に励んでいますが、ただ結果的に40年間助けられていないことを考えると、やはり『ごめんね』という言葉しか言えないですね」