×

“漁師の所得減少”も悲観的にならない理由

2018年11月12日 16:10
“漁師の所得減少”も悲観的にならない理由

世の中で議論を呼んでいる話題について、意見を聞く「opinions」。今回の話題は、「漁師の所得が減少」。フィッシャーマン・ジャパン事務局長の長谷川琢也氏に聞いた。

農林水産省が10月に発表した調査結果によると、個人経営の漁業による所得「漁労所得」は、297万2000円で前年に比べて30万円ほど減少した。ネット上では「命をかけて漁に出て、この所得では低すぎる」「これでは、日本人はやりたがらない」「所得向上のための大改革が必要」といった意見が聞かれた。


――フィッシャーマン・ジャパンでは「カッコよく」「稼げて」「革新的な」という理念を掲げていますが、この声を受けてどう思いますか。フリップには「TOYOTA SONY 漁師」と書かれていますが、どういうことなんでしょうか。

この調査結果で言うと、「その通りです」という感じで、漁業は収入も減っていますし、漁師の数も減っていますし、魚の量も減ったりとか、漁業のいろんな数字が右肩下がりなんです。


一方で、世界は逆でこの30年で、日本の数字は全て半分になったんですが、世界では漁師の収入が増えたり、魚の生産量が増えたりしています。かつて、日本が戦後、大変だった時に、TOYOTAやSONYが車や精密機械で、日本らしさや日本のブランドを創ってきたと思うんですが、これからは漁師とか、日本の海のすばらしい海産物が日本を引っ張っていくという時代が来るんじゃないかと思って、フリップに「TOYOTA SONY 漁師」と書きました。


――漁業に携わっていてその可能性というのは感じられますか。

そうですね。今年は、ついに70年ぶりの漁業の法律とかが変わろうとしていて、それをきっかけに、消費者も漁師もいろんなことを正しく知って、アクションしていくということができれば、海の資源というのは、数年で回復したり良くなったりというポテンシャルをすごく秘めています。そういうことをきちんと知って、日本の魚を守ったりすることが、「TOYOTA SONY 漁師」というこれからの日本を引っ張る流れをつくれるんじゃないかと実感しています。


――70年ぶりの大改革ということですが、私たち消費者が気にすべきことなどはありますか。

いろいろあるんですが、やっぱり海に思いをはせて、さきほどのネットのコメントにもありましたが、漁師が命がけで魚をとってるとか、それをありがたく頂戴することとか、大切な魚をきちんと食べるという意識というのは、まずできることではないかと思います。


■長谷川琢也氏(41)プロフィル
フィッシャーマン・ジャパン事務局長。東日本大震災の後、被災地の農産物などをネットで販売する企画を立ち上げたことをキッカケに、宮城県石巻市に移住。地域を活性化させ、次の世代に続く水産業を実現するため、地元の若手漁師と共にフィッシャーマン・ジャパンを立ち上げ、漁業のイメージを「カッコよく」「稼げて」「革新的な」という「新3K」に変えていくことを目指している。


【the SOCIAL opinionsより】