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投資しない日本人?100歳時代へ備えを

2018年10月25日 15:55
投資しない日本人?100歳時代へ備えを

世の中で議論を呼んでいる話題について、意見を聞く「opinions」。今回の話題は「金融資産割合 日米に差」。エコノミストの崔真淑さんに聞いた。

日本とアメリカの国民が持つ金融資産を比べたところ、日本は現金・預金が5割を超えているのに対し、アメリカは13%、アメリカ国内で回っている資産は8割以上が株式や投資信託などで資産が運用されていることがわかった。


――アメリカと日本では、なぜこんなに割合が違うのでしょう。

いろんな理由がいわれていますが、1つ言われているのは「アメリカ人はリスクをとる国民性で、日本人はリスクをとらないからだ」という国民性のことが言われます。エコノミストとしては、それは違うぞと。実は『デフォルトオプション』が影響しているのではと思っています。

これはアメリカ人がもともとリスクをとるというのではなく、たとえばiDeCo(個人型確定拠出年金)は、公的年金以外でも年金のための運用ができるというハコなんですが、アメリカの場合は会社に入ると自動的にiDeCoに入って、株などのリスク資産を自動的に運用する仕組みになっているんです。なので、アメリカの場合は、iDeCoに入りたくないという場合には、新たに手をあげて「入りたくない」ということを言わないといけません。

でも日本の場合は、デフォルトでiDeCoに入っていない状況なので、運用したい場合は自分で手をあげないといけません。なので、アメリカの場合は、デフォルトで投資をする仕組みになっている、日本の場合は手をあげなければならないという社会制度が極めて影響しているかと思います。


――国民性でなく、制度だったということがわかったんですが、今の日本の年金制度に不安を抱いている人が多いと思います。これはどうしたらいいでしょうか。

不安の中身を分解することが重要だと思います。もちろん私も年金に関しては不安に思うことはあります。いま社会保障費が膨らんでいるので、もらえる金額やもらえる年齢が後ろにずれるんじゃないかとみんな気にしていると思うんです。

そこで、ひとつキーワードとして挙げたいのは、「2007年に生まれた子どもたちは、50%が何歳まで生きるのか」。超長寿化社会だからこそ年金運用を自分でやらなくてはいけないと言われてるんですが、何歳まで生きると思いますか?


――今の段階では80歳ぐらいと言われているので、90歳ぐらいでしょうか。

答えは107歳と言われています。この100歳時代が当たり前になると、もしかして120歳、130歳まで生きる人が出てくるかもしれません。そうすると年金の支給開始年齢が80歳になったり、そこまで働くのが当たり前になるかもしれません。だから不安なので、自分だけで働くのではなく、お金にも働いてもらうということで、公的年金じゃなく、iDeCoやNISAという話になるんですが、投資はされていますか?


――考えてはいるんですが、やっていないので。

私自身も投資を始めるとき、すごく面倒くさくて、証券会社に口座ひとつ作るのも大変だったんですね。そんな時はアメリカの制度にならって、まずは引き落としで自動的に積立であるとか、さらには投資の友達を作ると、やらなきゃいけないという危機感も出てくるので、そんなこともおすすめかと思っています。


――本当に手続きが面倒くさいなというのが最初にきてしまうんですが、それを乗り越えれば当たり前になるかもしれないと。

そうなんです。乗り越えるために、まずは投資に興味のある友達とか、周りでお金のこと、年金のこと不安だよねと言い合える友達をつくって、がんばって証券口座をつくろうと。もちろん、投資をするかしないかは自由なんですが、こういった「107歳」が当たり前になるかもしれない時代の中で、公的年金以外でも、自分のお金をつくることは大事かなとお伝えさせていただきました。


■崔真淑プロフィル
エコノミスト。大学時代、7万円を元手に阪神タイガースのグッズを扱うネットショップをオープン。そこで得た資金で株式投資を始め、数百万まで資金を増やすもライブドアショックで大きな損失を出してしまう。卒業後は大手証券会社の研究所でアナリストとして市場分析を行い、2012年にエコノミストとして独立した。


【the SOCIAL opinionsより】