×

南北関係改善…韓国“兵役”への意識に変化

2018年10月5日 4:55

韓国と北朝鮮は今年に入り3回の首脳会談を行うなど、急速に関係改善を進めている。こうした中、韓国の男性が避けて通れない『兵役』をめぐって、若者たちの捉え方に変化が芽生えている。

    ◇

先月、今年3回目の南北首脳会談が北朝鮮の平壌で行われた。

北朝鮮・金正恩委員長「朝鮮半島を確かな平和の安全地帯とし、平和と繁栄の時代をより早めていくだろう」

非核化をめぐって停滞するアメリカと北朝鮮の交渉とは対照的に、韓国と北朝鮮は、すべての敵対行為の中止を確認し、今月から非武装地帯での地雷の撤去に着手するなど、急速に関係改善を進めている。

こうした中、改めて議論となっているのが韓国の男性が避けて通れない『徴兵制』。

私たちが向かったのは、韓国北東部の楊口。韓国では成人男性に原則、2年近くの兵役が義務づけられている。この日、楊口の新兵教育隊には約230人が入隊した。入隊直前、友人を見つけ抱き合う若者がいた。大学生のイ・ボヒョンさん(20)。

この数時間前、イさんは恋人と手を取り合っていた。入隊すれば、これまでのように頻繁に会うことはできなくなる。

イさんの恋人 キム・ガユンさん(19)「とても悲しかったけど、彼が何度も『大丈夫だ』と言ってくれました」

    ◇

南北関係の進展で、この徴兵制が再び注目されている。今年4月、文在寅大統領と金正恩委員長が初めて握手を交わすと、国防当局には入隊を延期できないか、問い合わせが相次いだという。

両首脳が年内の「朝鮮戦争の終戦宣言」を目指すことで合意したため、「兵役義務が廃止される」との期待が若者の間で膨らんだ。

イさんの本音を尋ねると―。

イ・ボヒョンさん「正直な気持ちとしては、(兵役に)当然行きたくないというのが…わが国の男性の99%がそうだと思う」

一方、今年『兵役拒否』を決断した若者は―。

写真家のキム・ミンさん(26)。この日は、兵役に就くのための検査を受けた人たちに、アンケートへの協力を呼びかけていた。キムさんは今年6月の入隊予定日に、ツイッターなどで『兵役拒否』を宣言。国防当局にも説明した。

キム・ミンさん「国家暴力や公権力の道具にはならないという気持ちをずっと持ち続けてきました」

刑事罰に問われる覚悟だったが、その直後、戦争や暴力に反対する思想や信念に基づいて兵役を拒否する人への扱いが国で見直されることになり、結果を待っている状態。

キム・ミンさん「南北関係が平和的に改善され、南北の首脳が会っているのに、(軍隊で北朝鮮を)敵とする戦争教育が行われているのは、まったく現代的ではないと思います」

    ◇

韓国の兵役をめぐっては、文大統領の公約だった服務期間の段階的な短縮が今月から始まった。最終的には、2年近い兵役期間が2か月から3か月短縮される予定。南北関係の進展がさらなる変化をもたらすことになるのか、若者たちも、その行方を見守っている。