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世界で死者最多の「結核」撲滅へ 国連動く

2018年9月29日 18:46

世界最大の感染症である結核。「過去の病気」と思われがちだが、日本でも6人に1人が感染していると言われている。その結核をめぐり、今週、国連に各国の首脳級が集まり、新たな対策を打ち出した。

◆国連で首脳級が会合

今週、各国の首脳が集結し、北朝鮮問題などで議論が白熱した国連総会。実はその中で、結核をめぐって各国の首脳級らによる会合が開かれていた。

日本・加藤勝信厚労相(26日)「結核は今もなお、世界で年間170万人もの尊い命を奪っている」

◆日本でも2000万人が感染

「過去の病気」と思われがちな結核だが、感染症としては世界で最も死者が多い病気。先進国も無縁ではなく、日本でも6人に1人、およそ2000万人が感染していると言われている。今年7月から9月だけでも、東京や長野、京都など各地の医療機関や施設で感染者や発病者が相次いだ。

世界の国々では診断や治療を受けられない人も多く、感染に気づかず広がってしまうケースもある。

こうした事態を受け、国連が対策に乗り出した。

日本・別所国連大使(結核の会合に関する会見 18日)「首脳級会合が、結核の撲滅に向けた新たな弾み、動きにつながることが重要」

◆“2050年までに結核ゼロを目指す”宣言採択

今回、2050年までに結核ゼロを目指す政治宣言が採択された。

日本・加藤勝信厚労相「根絶に向けて、国際社会の決意を新たにすべきだ」

さらに、感染者の治療の対策費を、今の約2倍となる年間130億ドル、日本円にして約1兆4000億円に増やすことで合意した。4000万人分の治療費と3000万人分の予防対策に充てるという。

担当者は──

結核交渉を担当 国連日本代表部・江副聡参事官「戦後までは結核が国民病といわれ、死因の1位を占めていたが、大きく結核対策を進めて大きく削減した実績がある」

日本政府は、東京オリンピックで大勢の外国人が来ると予想される2020年までに、最大限、患者数を減らすことを目指している。