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「ふるさと納税」見直しで駆け込み…今後は

2018年9月28日 19:12
「ふるさと納税」見直しで駆け込み…今後は

高級な和牛や家電など豪華な返礼品が人気となり、年々、寄付額が増加している「ふるさと納税」。

今月、総務省が過度な返礼品で寄付金を集める自治体を制度の対象から除外するという方針を発表したことを受けて、“駆け込み寄付”が急増しているという。中には、わずか1日で7億円以上集まった自治体もあり、波紋が広がっている。

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お茶どころ静岡県で作られている濃厚な抹茶のジェラート。実は地元・藤枝市のふるさと納税の返礼品としても人気だという。他にもフルーツや家具などの返礼品があり、昨年度の寄付受け入れ額は全国トップ10の37億円を誇る藤枝市。今ある異変が…。

藤枝市企画政策課・田中章元課長「2倍から3倍程度に寄付の申し込みが殺到している状況です。(殺到することに)一定の予測はしていましたけど、ここまでかという感じはしております」

ふるさと納税の申し込みが急増したという。一体なぜなのだろうか。きっかけは今月11日の野田聖子総務相の会見。

野田総務相「制度の趣旨をゆがめているような団体については、ふるさと納税の対象外にすることもできるよう制度の見直しを検討することといたしました」

これまで寄付額の3割を超えるものや地場産品以外のものを扱わないよう呼びかけていた総務省。しかし今回、これを守らない自治体は制度の枠組みから追い出す方針を表明した。

すると、「返礼品が見直される前に」と駆け込みで寄付をする人が急増。家電などを返礼品にして注目された佐賀県みやき町では、この会見を受けて、わずか1日でなんと7億7000万円の寄付が集まったという。

ネットでは…「駆け込みふるさと納税した!」「きちんとした線引きが必要だね」「ふるさと納税なくなってほしくないな…」との声が。今後、ふるさと納税制度はどうなっていくのだろうか―。

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見直しが進むふるさと納税について、街では賛否の声が…。

60代主婦「牛肉なんか、この納税でこれだけいただけるのって感じで思ったことはあります」

50代会社員「良い方向でもあるし、悪い方向でもあると思いますけど、見直し必要かなって思います」

20代会社員「お米とかお肉とかもらおうかって話はちょうどしてました。早めにって」「いいものがもらえるってみちゃってるので、今までに比べたらやろうという気持ちがなくなっちゃう」

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この状況に自治体は対応に追われている。訪ねたのは千葉県流山市。

流山市総合政策部マーケティング課・河尻和佳子さん「カタログに子育てセレクションとして一覧であるんですけど、一番人気があるのはチャイルドシートになります」

子育てのしやすさが市の魅力と捉え、去年から「子育てグッズ」を返礼品にした流山市。すると寄付額がおよそ6倍に増えたという。

流山市総合政策部マーケティング課・河尻和佳子さん「地場産品ではないと言われたものについては今年度中に子育てセレクションを終了といたします」

鈴江キャスター「市のイメージを背負っていたラインアップを変える、なくなるという状況になったらどう考えていますか?」

河尻さん「残念な気持ちはあります」

総務省からの通達に沿い、寄付金額や返礼品の見直しをすでに進めていた。

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そして、新たな動きも―。

昨年度、ふるさと納税全国1位の135億円を集めた大阪府泉佐野市。地場産品以外の返礼品を扱うなどしていたため、総務省から名指しで改善を求められていた。28日の会見では―。

泉佐野市・八島弘之副市長「返礼品の調達率は3割までといったことについても、なぜ3割なのか根拠をしめされたことがなく、何をもって地場産品とするのかあいまいであり、総務省が一方的な条件を押しつけていると理解せざるをえません」

基準を設けることに賛同する一方で、内容については議論する場を設けてほしいとした。返礼品を巡り対応にゆれる自治体。制度見直しの動向が注目される。