×

業種を超えて…有翼ロケットにのせた夢 1

2018年9月17日 17:52
業種を超えて…有翼ロケットにのせた夢 1

様々なジャンルのフロントランナーからビジネスのヒントを聞く「飛躍のアルゴリズム」。今回のゲストは、宇宙ベンチャー「スペースウォーカー」代表取締役CEOの大山よしたか氏。2027年に計画している“夢の宇宙飛行”、その構想とは?


■経歴

1981年、名古屋市生まれの37歳。ロンドン芸術大学留学を経て、2001年にカメラマンとして社会人をスタート。2004年には広告代理店で広告のデザイナーを務め、2008年からは、アートディレクターとして、「飲料メーカー」「各都市の町おこし」「飛行機会社のブランディング」などを手掛けた。そして、2017年に宇宙ベンチャーの「スペースウォーカー」を設立した。


■“宇宙飛行サービス”発表時の反響は?


――大山さんは、2027年に有人の宇宙飛行サービスを開始すると先日発表されました。反響はいかがでしたか?

反響はすごかったですね。記者会見当日もそうなんですが、やはり、しっかりとニュースにしてもらったことで、僕らがやろうとしている――日本がそのままやろうとしている夢だと思っているんですが、それを知っていただけたのはすごくうれしいですね。逆に言うと、僕らは各重工やJAXAとの契約がしっかりまとまるまで、あまり情報を出さずに進めていたので、知ってもらえてうれしいですね。


■日本がかつて「目指した夢」をカタチに


――それでは1つ目のキーワード「2027年 夢の宇宙飛行をあなたも!気になるお値段は?」。スペースウォーカーが目指している事業内容が、「2027年にスペースプレーンで人間を宇宙に飛ばす」というものです。そのイメージ図があるんですが、この宇宙船、NASAのスペースシャトルに似ているなという感じがするんですが?

そうですね。特徴は有翼と言って「翼」があるものをつくっています。それによって完全再使用を目指しています。


――スペースシャトルとはちょっと違う?

スペースシャトルは、高度400kmまで行ったり、軌道投入までしていました。当時はすごく大きいものをつくっていましたが、今は時代も違いますし、最新のもので人に特化したものをつくろうとしています。


――日本人の手による初の有人宇宙飛行ということですが、具体的にはどのようなことになるんですか。

元々、日本というのは、1970年代から研究開発を続けてきたんですよね。しかし、完全再使用の有翼もそうですし、人を飛ばすこともいつの日か、やらなくなっていて、それをしっかりと形にすることを僕らはやっていこうとしています。


■みんなが飛べるような料金にしたい


――これは何人乗りくらいのイメージなんですか?

これは乗員2人、乗客6人を考えています。


――全体でいうと、どれぐらいの時間飛行できるんですか?

宇宙にあがってからは5分ぐらいを目指しているんですけど、そこはエンジンの推力など日々計画が変わっているので、発表できるタイミングでさせていただければと思います。


――想定では宇宙までどれくらいの時間で行けるものなんでしょうか。

真上にあがる際には5分ぐらいですね。


――それぐらいで行けるんですね。そこから何分か宇宙を体験できると。

5分ぐらいかなとは思っています。


――丸くなっている地球を見ることができるんですね。

そうですね、100kmを超えたところぐらいから見えたらいいなと。


――アメリカの宇宙旅行ビジネス、「ヴァージン・ギャラクティック」では、金額的には約2500万円といわれていますが、この日本人による初の有人宇宙飛行はだいたいどれくらいの料金設定をイメージされているんでしょうか?

すごく設定は難しいんですけど、国民みんなが飛べるようなものにはしていきたいので、どんどん下げていきたいです。ただ、初めは2000万円~2500万円という値段になるかもしれません。目標的には300万~600万ぐらいまで下げられるように、今事業計画はつくって、日々動いている途中です。


――そのぐらいになったら“お金をためたら何とか”とか、高級車1台分という感じで、最終的には乗れるかもしれないと。

そうですね、がんばります。


■続々と予定されている実験機


――2027年の夢の宇宙飛行に向けて、現在の進捗(しんちょく)状況というのはどうなんでしょう。

日々、研究開発を進めているのですが、まずは今年の10月に、「#014-3号機」というのが飛びます。これは九州工業大学との共同研究のもので、その次の年に、4.7メートルの「#013号機」をアメリカで飛ばして、その次に、LNGエンジンというJAXAとIHIとで共同研究しているものがあるんですけど、その実験機「#015」を飛ばします。2021年には高度100kmを超えるものをつくろうとしています。


――段階を踏んで、形も変わっていきますね。

そうですね。どんどん大きいものをつくろうとしています。


――この「サブオービタル(プレーン)」とはどういう意味なんでしょうか。

軌道に投入はされないんですが、翼があるものでしっかり再利用できるものをつくろうとしています。


――2023年にこのサブオービタルプレーンで、そこからまた変わっていくわけですよね。

そうですね。2023年に関しては、小型の人工衛星を軌道に投入できるものを考えていて、そこを定期運行できるようになって、安全をしっかり確保できて、法律面もしっかり整備できたら人を飛ばそうとしています。


――本当に着々と準備が進んでいっているという印象ですが、驚くべきことに、最初の経歴で紹介しましたが、大山さんは、最初は宇宙ビジネスとは全く関わりのなかったアートディレクターだったということなんですよね。


   (2)へ続く