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全社員に出社義務なし テレワ極める会社1

2018年8月20日 17:14
全社員に出社義務なし テレワ極める会社1

様々なジャンルのフロントランナーからビジネスのヒントを聞く「飛躍のアルゴリズム」。今回のゲストは、ホームページを簡単に作成できるツールを提供するシックス・アパート株式会社・代表取締役の古賀早氏。驚きのテレワークシステムについて聞く。


■古賀早氏のプロフィル


古賀氏は、1965年福岡県生まれ、埼玉県育ちの53歳。東京外国語大学イタリア語学科を卒業後、トヨタ自動車に入社。その後、表計算ソフトなどを販売していたロータス株式会社や、日本IBMなど外資系ソフトウエア開発企業の営業畑に勤務し、インテュイット株式会社の執行役員時代に、経営陣による企業買収MBOにかかわった。

2005年、ブログ形式でホームページを簡単に作成できるツールを提供するシックス・アパートに入社、2014年に代表取締役に就任している。


■全社員に出社義務がない


1つ目のキーワードは「全社員、出社義務なし 驚きのテレワークを実践!」。


――そもそも、どういう会社なのでしょうか。

シックス・アパートは「Movable Type」という日本で出荷本数と売り上げともにナンバーワンの企業のホームページを作ったり、運用したりするソフトや、インターネットサービスを開発したり販売したりする会社です。ですので、働いている人の半分以上がエンジニアになります。


――会社に行かなくてもいいということなんですか。

全社員に出社義務がない会社なんですが、最初はまず就業規則の変更から始めました。

就業規則には、やはり「出社」「退社」という言葉がかなり多くあるのですが、まずそれを「勤務開始」とか「勤務終了」という言葉に変えたり、あと場所を限定するような言葉がかなり入っています。それを編集したり削除したりして、基本的にはオフィスに来なくてもよいというルールにしました。

しかし、自宅勤務ということを意味しているわけではなく、カフェやコワーキングスペース、図書館、田舎に帰って実家で働くとか、そもそも東京に住んでいないなど、色々な方々が働いています。

それを我々はSAWS(シックス・アパート・ワーキング・スタイル)という愛称で呼び、みんなで親しんでこの働き方をしています。


■社員は月に1~2回ほど会社に顔を出す


――最近、テレワークを進める会社も増えてきましたが、全員がどこでもいいというのはなかなかないですよね。どんな感じか写真で拝見させていただきます。(オフィスの写真がモニターに映し出される)

社員は30名なんですが、10席のフリーアドレスの席を用意しています。これは、たまたま誰もいない時を撮っていますが、先ほど言いましたように自由ですので、オフィスに来るのも自由です。オフィスが1番働きやすいという方もいるので、平日にいるのは、3人から5人くらいが多いです。


――実際に出社されない社員の方は何割ぐらいですか。

ほとんどの社員が月に1回から2回、会社に顔を出すという感じになっていて、それはチームごとにミーティングがあるんですが、ミーティングを週に1回、または月に1回ぐらいは顔をあわせてやろうというのを、チームごとに決めて自由にやっていますが、それ以外は全部オンラインで会議を行っています。


■長野で働くエンジニアも


――別のところで働いている方もいるんですよね。(写真がモニターに映し出される)秋田の実家とありますね。

実家に帰ると、意外に暇だったりしませんか?(笑)

いままでですと実家に帰るイコールお休みを取るだったんですが、どこで働いてもいいというルールにしたので、実家に帰って時間があれば、働いてもいいので、この写真に写っている方は実家に帰っている時間が長くなりました。

夏休み1週間しか帰れなかったところを2週間、3週間帰っても、その間、週に3日、4日働くことができますので、長く実家にいることができます。

お父さん、お母さんからみるとお孫さん、この写真の方はお子さんがいるんですが、お父さんお母さんも非常に喜んで本人は楽をして、Win-Winではないかと思うんですけど。


――東京に住まなくても大丈夫ですよね。

そうですね。長野に住んでいるエンジニアを、まさにこの制度を導入してから雇うことができました。非常に優秀な方で長野に愛着を持たれている方だったのですが「長野に住むことができれば、就職してもいい」と言ってくれたので入社していただきました。


――社長の古賀さんはどちらにいらっしゃるんですか。

夜にお客様との会食があるときなどは、夕方にオフィスに寄ることもあります。しかし一番多いのはやはり、コワーキングスペースというシェアオフィスで働いていることが多いです。


――このモニターの写真はどちらですか。

これは、コワーキングスペースに社員が集まっていて、そこでミーティングをしているところです。オフィスにミーティングルームもあるのですが、ひとつしかないとか、ほかのところで、こうやって集まってミーティングをするのもいいんではないかということで、コワーキングスペースの色々なところを開拓しています。

我々は、チャットシステムを使ってコミュニケーションしているのですが、この制度を始めたころは、みんなが色々なワーキングスペースを調べて、あそこは良かったよ、安かったよ、コーヒーが無料だったよとか、そういうのを調べて、みんなで共有していました。今は西新宿や丸の内など、いくつか決まってきた感じがします。


――そうすると、オフィスはすごく小さくてもいいわけですよね。

そうですね。はじめは赤坂にある100坪以上あるオフィスでしたが、おととし、神保町にある30坪のオフィスに引っ越しをしました。土地柄もあり、色々な意味で家賃は大幅に下げることができました。