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発達障害の「生きづらさ」を取り除くには…

2018年8月9日 15:44
発達障害の「生きづらさ」を取り除くには…

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「自分は発達障害なのか?」。発達に偏りのある子どもの伸ばし方や、学びづらさを抱える子どもへの教育などに取り組んでいるリタリコ執行役員・野口晃菜氏に聞く。

最近、メディアやネットなどでよく見る“発達障害”という言葉。厚生労働省によると、発達障害は生まれつきの特性で“病気”とは異なるとしている。

発達障害はいくつかのタイプに分類され、自閉症、アスペルガー症候群、ADHD(注意欠如・多動性障害)、学習障害、チック障害、吃音(きつおん)などが含まれる。このように症状も様々で正しい理解が進んでおらず、自分で気づくこともないケースもある。発達障害について、ネット上ではこんな声が挙がった。

「診断されるまで普通だと思っていた」
「誰にでも当てはまる。診断されるの怖い」
「ミスすると発達障害になりたがるヤツがいる」


――最近では、発達障害に関する本も多く出版されていますが、野口さんのご意見をお聞かせください。フリップをお願いします。

「『ちがい』に寛容な社会を」。発達障害のある方たちが生きやすい社会のためには、「ちがい」に寛容な社会をつくっていくことがとても重要だと思っています。

発達障害か発達障害でないかの診断は非常に難しいんです。例えば、血液検査をして分かるというものでもないので、そういった意味では診断はとても難しいです。

(発達障害の)そういった特性がありながらも寛容な環境があり、その人の事を理解してくれる人たちが周りにいることで、生きづらさを抱えることなく過ごしているという方もたくさんいます。

その一方、すごく強い特性を抱えている中で、なかなか周りの理解がなかったり、とても厳しい環境だったりすると、生きづらさを抱えてしまいます。例えば、二次障害といって、うつ病などの精神障害を発症される方もたくさんいらっしゃいます。


――発達障害は生まれつきの特性だということで、さらに二次障害で精神も病んでしまうことがあるということですか?

そうですね。そういった方はとても多いです。「自分のせいだ」と責めてしまう方が多いんです。

例えば、忘れ物をよくしてしまう。忘れ物は発達障害ではない人にもあることですが、そういったことがあまりにも多く、自分で抑制ができない点が障害だったりします。それを自分の努力のせいにしてしまって、心を病んでしまうという方もいらっしゃいます。


――このキーワードの通り、多様性を受け入れる社会づくりが大切になってくるんですね。

そうですね。ご自身が気づくことも大切ですけれども、発達障害に気付かないとしても、違いがあっても、周りが受け入れられるような社会をつくっていきたいと思っています。


■野口晃菜氏プロフィル
障害者の就労支援や教育事業を手がけるリタリコの執行役員。発達に偏りのある子どもの伸ばし方や、学びづらさを抱える子どもへの教育などに取り組んでいる。特に、全ての学び手のニーズに対応できる“インクルーシブ教育”が必要と感じ、研究と普及に力を入れている。


【the SOCIAL opinionsより】