原則入寮の伊藤忠独身寮 新入社員の本音は
大手の総合商社・伊藤忠商事が、社員寮を18年ぶりに復活させた。その理由とは一体なんなのか?話を聞いた。
原則入寮の独身寮。伊藤忠商事の新入社員の本音は――
「落ち着く時間なさそうだなって」
「先輩とかいるしね」
「家帰っても会社の人が居るのは気になるかもね」
2018年4月に新設された、361室を設けた巨大社員寮。入社1~4年目までの独身男性社員は原則入寮となり、24時間を共に過ごす。夕食時にも、仕事の話で盛りあがっていた。
「1年目で分からないことも多いんで、ついて行けなくて苦労することもありますし」
仕事上の悩みを気軽に共有できるメリットは大きいようだ。さらに、入寮後の生活にはこんな本音もあった。
「寮の方が楽しいですね。親がいてガヤガヤ言われるよりも」
「この寮はめちゃくちゃキレイなんで、むしろ羨ましがられます」
寮生全員には、キッチン・トイレ・シャワールーム付きの部屋が用意される。さらに、サウナ併設の大浴場やオシャレなカフェバーまで設けられている。管理栄養士が作る朝食と夕食が毎日食べられて、寮費は月1万5000円(食事代は別)だ。独身寮を設営した狙いを、伊藤忠商事の人事・総務部の田村室長補佐はこう話してくれた。
「福利厚生の充実というよりかは、経営戦略として新たな寮を設営した」
経営状況の悪化のため、18年前に一度は寮を売却した伊藤忠商事。その後、IT化などが急速に進んだことで各事業分野をまたぐビジネスが拡大し、縦割りの組織にいかに風穴を開けるかが課題となっていた。田村室長補佐はこう語る。
「共に生活することによって、強固な人的ネットワークや組織力が醸成できていく」
2017年度、過去最高の純利益を更新した伊藤忠商事。寮生活によってさらなる成長を目指すとのことだ。
【the SOCIAL viewより】