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検証「蚊と猛暑の関係」今後は増加見込みも

2018年7月30日 19:22
検証「蚊と猛暑の関係」今後は増加見込みも

例年、この時期は蚊に悩まされる人も多いと思うが、今年は「蚊が少ないのではないか」という声がある。実は今年の「猛暑」が関係しているということだが、蚊にどのような影響を与えているのだろうか。

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川のすぐ近くにある東京・葛飾区の「キャンディパーク保育園」では、毎年、蚊が大量発生するため対策に追われていた。お散歩に出るときには、欠かせない虫よけスプレー。しかし…。

キャンディパーク保育園・福田美月先生「前は外に出たら見えるくらい(蚊が)飛んでいたんですけど、今は全然見かけないですね」

例年は、外に出る度に毎日、蚊に刺されていたが、猛暑日が続いた今年は、まだ1回も刺されていないという。

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猛暑日が続いてから少なくなったという蚊。気温とどう関係があるのか。害虫を研究する機関「害虫防除技術研究所」で、専門家の白井良和所長が立ち会いのもと検証をした。

用意したのは、温度を26℃に設定した箱と、猛暑日に相当する35℃以上に設定した箱。そこに入れたのは、白黒の模様が特徴的な「ヒトスジシマカ」。それぞれの箱に腕を入れると一体、何匹が止まるのだろうか。

26℃の箱では親指や手の甲など、すぐに数匹の蚊が血を吸い始めた。一方、35℃以上になった箱を見てみると、指に蚊が止まるが、すぐに飛び立ってしまった。

35℃以上の箱ではわずかに反応している蚊がいるものの、多くの蚊は、にぶい動きを見せていた。そして5分後、箱から腕を出してみると。

26℃では7か所刺されたあとがあったが、35℃以上では1か所も刺されていなかった。

白井所長によると、蚊が活発に活動する気温は25~30℃。35℃を超える猛暑日には、蚊も弱ってしまい、刺されにくくなる可能性があるという。

また、蚊が成虫になるには水場が必要だが、今年は梅雨が短く、猛暑が長かったため水場が少なく、卵のまま成長が止まった蚊が多かったという。

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こうしたなか、蚊の対策グッズを販売するホームセンターでは、影響が出ていた。夏の時期、特に力を入れて販売している蚊の殺虫剤だが、今年は蚊が少ないため、売り上げが例年に比べ5%ほど落ちたという。ほかの殺虫剤は売れているのに、売れ筋商品の蚊の殺虫剤が売れない事態に担当者は―。

ジョイフル本田千葉ニュータウン店・佐藤亮太さん「殺虫剤(の売り上げを)落としてしまうと、かなり売り上げも厳しい。かなり大ダメージ」

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30日午後、千葉で突然降った大雨。これから頻発するこうしたゲリラ豪雨。さらに、今回の台風12号でも水場は多くできたため、卵だった蚊が成長し、今後、蚊は増えるという。

気温が下がる朝や夕方以降は活動が活発になるので、軒下など水がたまりやすい場所は掃除をするなど、対策が必要だという。