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韓国で沈没艦発見 15兆円財宝?…疑惑も

2018年7月26日 18:56

今から113年前、日露戦争で沈没したロシアの軍艦が韓国の鬱陵島沖の海底で発見された。軍艦には15兆円もの金塊が積まれていたとの言い伝えもあり、韓国では大きなニュースとなっている。

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26日、ソウルでは沈没船を発見した企業が会見を行った。

シニルグループの会見「鬱陵島の近海で沈没船を発見しました。ドンスコイ号だと確信しています」

発見されたのは113年前に日露戦争で沈没したロシア帝国の軍艦・ドンスコイ。この軍艦、韓国では巨額の財宝を積んだまま沈没したとの言い伝えがある。

沈没した船を発見した際とされる映像では、朽ち果ててはいるものの、あちこちに軍艦の名残が。そして、船体には「ドンスコイ」の文字が。この会社は15兆円相当の金塊が積まれていたと宣伝していた。金塊は、本当にあるのだろうか?

私たちは引き揚げの準備が行われている現場を取材した。記者が下り立ったのは、朝鮮半島から東に約130キロの鬱陵島。

島の住民「そういう言い伝えがあると聞いています。こんなに大きな金塊らしいので見てみたいです」

調査船に乗り込んでみると、海底でドンスコイを発見したという潜水艦が。まさに「宝船」捜索の最前線。ただ、潜水艦の操縦士からはこんな言葉が。

潜水艦の操縦士「宝物や宝箱と呼ばれるものは見ていない。元々積んであったものはそのまま残っていると思う」

金塊はまだ見ていないという。

■発見した企業を巡り、様々な疑惑も

韓国で大きなニュースとなっているドンスコイ発見。しかし、発見した企業「シニルグループ」を巡っては、様々な疑惑が指摘されている。

ニュースのアナウンサー「宝船引き揚げ騒動で、株式市場が騒然としていますが、ついに金融当局が調査に着手しました」

発見を発表した直後、シニルグループの社長が出資する会社の株価が急騰。その後、株価はもとの価格近くに戻ったが、関係者が利益を得ていた疑惑が浮上した。

また、シニルグループはドンスコイで金塊が発見されれば価値が上がるという仮想通貨を発行。投資金を募っているが、これが詐欺にあたる可能性もあるという。

疑惑にどう答えるのか?シニルグループの本社に行ってみると…。

シニルグループ本社の入り口で「(Q:お話しできる人はいませんか?)いません。(Q:話を聞いてもらえませんか?)だめです」

話を聞くことはできなかった。

■金塊は本当に積まれているのか?専門家は…

そもそも金塊は本当に積まれているのか?ロシアの専門家は――

ロシア海洋史に詳しいストレリビツキー氏「(ドンスコイには)金塊、金貨、銀貨などは絶対に積まれていない」

巨額の金塊説は伝説のようなもので笑い話だと一蹴した。

26日の会見で「疑惑」を追及された会社の代表者は――

シニルグループ代表「私たちが株価を操作するというのはありえないことだ。(Q:法的責任はないのか?)全くない」

疑惑を一貫して否定した。

「沈没船」発見のニュースから思わぬ方向に飛び火したこの問題。韓国では真相究明を求める声が強まっている。