「ALSと生きる」武藤氏の共感呼ぶ生き方
コミュニケーションクリエイターの武藤将胤氏。武藤氏は26歳の時、体の運動機能が徐々に失われていく難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症。自身の体験を通じ、ALSの認知や支援制度の向上などを目指し、一般社団法人「WITH ALS」を立ち上げて活動している。
■ALSとは?
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、体を意識的に動かす時、脳などからの命令を筋肉に伝えている神経細胞が侵される病気。筋肉を動かすための命令がうまく伝わらなくなり、筋肉がやせ細ってしまう。
影響があるのは意識的に動かす筋肉だけで、無意識に働く内臓などの筋肉には影響はない。視覚や聴覚などの五感、知能の働きも正常のままだが、呼吸は意識的に動かす筋肉も関係するため、呼吸が困難になっていく。症状が進み意思表示が困難になるとコミュニケーションにも障害が出る。
世界で35万人、日本には約1万人の患者がいるといわれ、現在、治癒のための有効な治療法は確立されていない。
■武藤氏に聞く
――武藤さん自身は、症状はどのような感じなのでしょう。
私自身、約4年半前にALSを発症して、日に日に手足を動かすことや声を出す力が奪われてきています。
――6月21日は、ALS啓発を目的とした「世界ALSデー」ですが、この日に向けて、啓発行事を行われていたそうですね。
6月19日に音楽を通じて、1人でも多くの方にALSを知っていただいて、また「WITH ALS」のスローガンでもある「NO LIMIT, YOUR LIFE.(すべての方の人生にきっと限界はない)」というメッセージの発信を、音楽イベントを通じて行いました。
――会場はどんな様子でしたか。
賛同してくださったアーティストのみなさんも熱いメッセージを発信してくださったので、ALSの患者さんも健常者の方も垣根を越えて、ひとつになれた熱いイベントでした。
――限界をつくらないというのがテーマだとおっしゃいましたが、私もイベントに参加させていただいて、アーティストの方が「武藤さんに出会ったから、諦めることなんてできなくなった」と言っていたのが印象的でした。
ありがとうございます。僕自身もいま、自分に残された目の動きだけで、DJやVJのパフォーマンスに挑戦していまして、6月19日もライブをいたしました。
――目で、DJやVJはすごく難しいんじゃないですか。
開発から2年かけて挑戦し続けて、ようやくプレイでみなさんにメッセージを届けられるようになりました。
【the SOCIAL guestより】