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米朝首脳会談 米朝それぞれの評価は?

2018年6月13日 1:34

今回の米朝首脳会談について、アメリカと北朝鮮はそれぞれ、どう評価しているのか?トランプ大統領の同行取材をしたワシントン支局の井上幸昌記者と、ソウル支局の藤田賢治記者がシンガポールから解説する。

◇アメリカ・メディアの受け止め

有力紙や専門家は、トランプ大統領が「大きく譲歩した」と伝えている。

特に指摘されるのが、米韓合同軍事演習の中止に言及した部分。

アメリカ・トランプ大統領「交渉がうまくいく場合、我々は米韓軍事演習をやめることになる」

「交渉がうまくいく場合は」という条件付きではあるが、北朝鮮が長く主張してきた要求に、おいそれと乗ってしまったと受け止められている。

また、このほかにも「北朝鮮の大勝利だ」、共同声明は「理想を求めるだけの軽い内容だ」などと批判が噴出している。

◇会談を急ぎすぎ、準備不足?

共同声明などを聞いても、抽象的で、進展が無いような印象。トップ会談ということを急ぎすぎて事務的なツメが足りなかったなど、準備不足はなかったのか?

トランプ大統領にも、実はその自覚があるようで、記者から共同声明に、なぜ「完全かつ検証可能で後戻りできない非核化」が盛り込まれていないのか、と聞かれた時、半ば「準備不足」を認めるような発言をしている。

アメリカ・トランプ大統領「滞在は1日で時間が足りなかった。これからプロセスが始まるのだ」

シンガポールを出発した直後の専用機の中で、大統領は記者団に対し、「金委員長は完全な非核化の計画を持っている」と豪語しているが、全ては今後の交渉次第というのが実態だとみている。

◇北朝鮮のペースに見えた会談

北朝鮮にしてみれば、得られたものは多くなかったが、大国アメリカに対し、譲歩したものもほとんどナシという形で会談を終えられた。

焦点の非核化については、短期的な非核化を要求するアメリカに対し、共同声明では具体的措置を盛り込むことなく「朝鮮半島の完全な非核化を目指す」という表現にとどめることに成功した。

北朝鮮としては、これから長く続く交渉につなげられたと評価しているのではないだろうか。

トランプ大統領が金委員長を繰り返しほめたし、北朝鮮はこの会談を宣伝材料として金委員長の国内での威信を高めることが予想される。