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安倍首相「日朝会談」に意欲“拉致”解決は

2018年6月8日 12:25

史上初めてとなる米朝首脳会談を前に、安倍首相はアメリカのトランプ大統領と会談し、拉致問題の解決に向けて、北朝鮮の金正恩委員長との首脳会談に強い意欲を示した。米・ワシントンから天野英明記者が伝える。

■拉致問題解決へ自らも乗り出す姿勢アピール

米朝首脳会談に前のめりな姿勢を見せるトランプ大統領を前に、安倍首相は自らも金正恩委員長との会談に意欲を見せ、拉致問題の解決などに乗り出す姿勢をアピールした。

安倍首相「拉致問題を早期に解決するため、私は、もちろん北朝鮮と直接向き合い、話し合いたい。あらゆる手段を尽くしていく決意です」

安倍首相が拉致問題での協力を要請したのに対し、トランプ大統領も米朝首脳会談で「必ず議論したい」と応じた。

安倍首相は、トランプ大統領に拉致問題を提起してもらう代わりに、自らも直接交渉に乗り出す姿勢を鮮明にしたわけだが、いわば大きな賭けに出た形。

ただ、拉致問題を「解決済み」だと主張する北朝鮮をどのようにテーブルにつかせるのか。道筋が不透明な中、安倍首相の外交手腕が問われることになる。

■もう一つ大きな焦点だった非核化について。トランプ大統領は融和的な姿勢を見せていたが、考えは一致しているのか。

両首脳は北朝鮮が核兵器の廃棄など具体的な行動を取るまで制裁を解除しない方針で一致し、安倍首相はトランプ大統領と足並みがそろっていることを強調した。

安倍首相「(トランプ大統領は)北朝鮮が行動するまで制裁は解除しないと述べておられます。日本の立場も全く同じであり、日米はまさに完全に一致している」

安倍首相はまた、拉致問題や核・ミサイル問題などが包括的に解決に向かえば、北朝鮮と国交を正常化し経済協力を行う用意があるとの考えを示した。米朝首脳会談を前に、北朝鮮への融和的な姿勢を見せるトランプ大統領に配慮したものとみられる。

トランプ大統領「北朝鮮に対する最大限の圧力は、完全に効果が出ているが、この言葉は使わない。友好的な交渉に入るからだ」

政府内には、米朝首脳会談でトランプ大統領が何らかの成果を上げることにこだわる中、本当に非核化を担保できるのかという懸念は根強くある。

安倍首相は、トランプ大統領の手綱を締めながら、どのように立ち回れるのか、引き続き難しい外交交渉が求められる。