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金委員長「髪形」完全再現で見えた“事実”

2018年6月7日 19:25

12日にアメリカ・トランプ大統領との会談に臨む、北朝鮮の最高指導者・金正恩委員長。金委員長の特徴の一つがその髪形だ。独特の髪形を完全再現すると、ある意外な事実が浮かび上がった。


今から6年前、名実ともに北朝鮮の最高指導者に就任した金正恩委員長。海外メディアも招いた軍事パレードで演説を行った。

金正恩委員長「最後の勝利のために前へ!」

まだ29歳の若さだったが、北朝鮮メディアが引き合いに出したのが金委員長の祖父にあたる金日成主席だった。

軍事パレードの実況放送では…

「偉大なる太陽を仰いで歓呼していたあの日のように、姿も気質も“金日成主席”、金正日総書記そのままのわが最高司令官」

パルチザン部隊を率いて日本軍に抵抗し北朝鮮・建国の父となった金日成主席。国民に圧倒的なカリスマを誇った。

祖父の威光を最大限に利用した金委員長。

サイドから後ろを刈り上げた特徴的な髪形も、祖父を意識したとみられる。

この髪形、完全再現を試みると意外なことがわかった。

協力してくれたのは、理容師歴40年以上のベテラン・羽鳥和彦氏。

まず、バリカンで両サイドと後頭部を刈り上げ、おおまかな形を作り、はさみで髪の長さと量を調整。

羽鳥氏によると、金委員長の髪形の維持にはかなりの手間がかかるという。

全理連中央名誉講師・羽鳥和彦氏「どんな報道を見ても、(頭の)周りがきれいになっている。毎日、専属の方が朝、生え際のところをカットするなり、そるなり何かしらの手入れをしているのではないか」

特に難しいのが「後頭部」。

全理連中央名誉講師・羽鳥和彦氏「髪の毛が結構太いところなので、ぼかしていくところで、ちょっと手間がかかっています。」

幅の広いグラデーションを表現するには、高い技術が必要だと言う。

仕上げのスタイリングではドライヤーで、両側の膨らみを表現し、最後にハードジェルやスプレーで形を整えて完成。

オールバックの両サイドがしっかりと角を形作る独特のフォルム。毎日の手入れにかかる時間は…

全理連中央名誉講師・羽鳥和彦氏「(毎日)長ければ、やはり1時間くらいはかかってしまうんじゃないか」

祖父・金日成主席の権威を受け継ぐため、髪形にも並々ならぬ努力が注がれているようだ。

祖父をまねたのは髪形だけではない。

北朝鮮で放送された記録映画。在りし日の金日成主席がたくさんの子供に囲まれている。そして…。

全く同じように、子供たちに飛びつかれる金委員長。“祖父をほうふつとさせる”演出には、明確な狙いが込められている。

慶応義塾大学・礒崎敦仁准教授「金正恩氏が27歳で北朝鮮のトップに立った。その時点では彼の経歴や実績がまだよくわからない。国内でもあまり宣伝されていない状況で、最大限、金日成主席の実績を継いだ人物なのだということを宣伝しようとした」

祖父の威光も借りてスタートした金正恩体制。今、もっとも力を入れているのが経済の立て直しだ。

今年5月に金委員長が視察した元山の海岸観光地区。白い砂浜に観光施設の建設が進められている。経済再建に向け、外貨獲得につながる国外の観光客を誘致したい考えがありそうだ。

今年4月に開かれた党の中央委員会総会。金委員長は「経済建設に総力を集中する」と述べ、“経済最優先”の姿勢を鮮明にした。

しかし、ここに至るために突き進んできたのが、核・ミサイル開発だった。

核実験とミサイル発射は国際社会の厳しい制裁を招く一方、戦争の危機をあおり、北朝鮮のもくろみ通り、アメリカを交渉のテーブルにつかせることになった。

環日本海経済研究所・三村光弘主任研究員「北朝鮮が一番やりたいことは、アメリカとの関係改善、国交正常化。国際社会のメンバーとして、これからどんどん経済発展の方向に向かっていくことを願っていると思う」

北朝鮮は「アメリカから体制保証の確約を得ることで経済に集中できる」と考えていると三村氏は分析する。しかし、苦労して手に入れた唯一最強のカードである核を、北朝鮮が手放すことはあるのだろうか?

環日本海経済研究所・三村光弘主任研究員「一言で言うと、北朝鮮が核を開発したのは、核を放棄するために核を開発した。北朝鮮の言い方で言うと、『米国とのいい関係が結べるなら北朝鮮として核を持つ理由はない』」

三村氏は、交渉の結果次第では、核を放棄する可能性もあると指摘する。

20年以上に及ぶ北朝鮮の核問題は、解決に向け動き出すのか?世界が注目する“世紀の会談”は12日に行われる。