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金融・大蔵汚職事件が社会に及ぼした影響

2018年6月1日 21:30
金融・大蔵汚職事件が社会に及ぼした影響

ニュースのポイントをコンパクトにまとめた「深層NEWS ここにフォーカス」。1日は、1990年代後半の第一勧銀の総会屋への利益供与事件と旧大蔵省の接待汚職事件が、その後の日本社会に及ぼした影響について。

作家・江上剛氏「(東京地検)特捜部が、銀行とか総会屋の関係をやった(摘発した)結果、絶対に踏まえておかなきゃいけないのは、癒着を断ち切るという意味で、財務省と金融庁というふうに組織が分離したわけですよ」

近野キャスター「いわゆる財政と金融の分離」

江上剛氏「あと、日銀の独立性ということで、日銀法もその流れの中で改正になった。これは銀行には大きくて、財務省とはもう関係はなく、金融庁の支配になって、今度は金融庁担当というのはなくなる。お互いに警戒し合っていますから」

丸山キャスター「護送船団だったら楽なわけですよ。その中にいればいいんだから」

江上剛氏「それがみんななくなっちゃって、自分の判断もできないのに荒海に投げ出された。判断できていればいいんですけど。そんな状態になって、片方、金融庁は徹底的に摘発するようになってきたという流れがあって、それはいまも続いていて、これだけ金融が緩んだ状態でもお金がなかなか出てこない。他にもいろんな金融の手立てができたこともありますけど、銀行にあのときのトラウマみたいなものがずっとあるのと、その間、お客さまとの関係は壊れましたよね。信頼関係が」

元東京地検特捜部長・熊崎勝彦氏「(捜査で)世の中を変えようとか、当時『(金融)ビッグバンを開く男』とか、世界の有名雑誌に書かれたけど、そういう意図は基本的にないですよ。要は証拠主義ですから、証拠が出てきたらやりますよ。ただし、証拠に対しては敢然と武器として戦わなきゃならんというのはありましたね。証拠が出てきたら検察は引き下がっちゃダメですよ。僕がよく言うのは『事件は時代を映す鏡である』。大蔵省の接待汚職にしたって、銀行の事件にしたって、長く護送船団、事前規制社会で巨大官庁、あるいは、官庁の許認可権が大きくて引っ張ってくる、経済を。それで日本の高度成長を支えていた面もあるんですよ、もちろん。だけどもそこによどみが出てくる。制度が長く続くと後ろの方によどみが出てくる。これをさらう、きれいにするのが検察の仕事、警察の仕事なんだと」