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W杯直前!犬、宿泊…現地ロシアの“不安”

2018年5月14日 19:41

サッカーワールドカップ・ロシア大会の開幕まで、14日でちょうど1か月となる。ロシアでは大会への準備が進められているが、日本から観戦に行こうというファンにとっては、ちょっとした“不安材料”も残されているようだ。

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ロシア中部エカテリンブルクでお披露目されたのは、優勝チームに贈られるトロフィー。開幕が1か月後に迫る中、各地を巡回し、ワールドカップをPRしている。

エカテリンブルクは、日本代表が予選リーグ第2戦、セネガルとの試合を行う「決戦の地」。準備は順調に進んでいるのだろうか。

■スタジアムでは…“奇抜”な観客席?

会場となる予定の「エカテリンブルグ・アリーナ」。見えてきたのは、奇抜な形の観客席。その高さは15階建てのビルに相当する45.5メートル。壁のようにそびえ立ち、なんとも異様な光景だ。一番上まで登ってみると、最上段の客席の後ろにはフェンスが1枚あるだけで、フェンスや座席の下にはスペースがあいている。そして、ピッチに立つ人は小さくしか見えない。

実はこれ、FIFA(=国際サッカー連盟)が求める収容人数をクリアするために増設した、仮設の観客席なのだ。やや不安を感じるが、安全面には問題ないという。

スタジアム管理責任者「全てのサッカーファンと日本のファンに、この観客席で最大限、サッカーを楽しんでほしい」

■ロシアで深刻“野良犬”問題

さらに別の「不安」も。今年3月に衝撃の事件が起きた。19歳の男性が複数の野良犬に襲われて死亡したという。ロシアでは野良犬が深刻な社会問題なのだ。

今年1月、ワールドカップが開催される11都市だけで200万匹の野良犬がいると試算したロシア政府。大がかりな対策に乗り出していた。野良犬を片っ端から捕まえているのだ。

捕獲した犬の保護施設の担当者「このような施設は(モスクワ)市内で13か所あり、1万6000匹が保護されています」

対策の効果があったのか、開催都市の市街地では野良犬は目に見えて少なくなった。しかし、中心部を離れると、まだ野良犬の姿が…。

ロシアでは狂犬病対策が徹底されていないため、かまれただけでも深刻な事態になりかねない。

しかし、捕獲作戦では多くの犬を殺して処分しているとの批判も根強く、「野良犬問題」はワールドカップを前に大きな議論となっている。

■宿泊・交通問題“一挙に解決”の手段とは

そして、サポーターにとっての不安の種が「宿泊場所」と「交通手段」。特に今回、日本の予選が行われる3都市はモスクワから遠く、宿泊施設も移動手段も決して十分とは言えない。しかし、これらの問題を一挙に解決する手段があるという。

それは「寝台列車」。記者が乗り込んだのは、モスクワから日本代表の初戦・コロンビア戦が行われるサランスクに向かう列車。その乗り心地を体験してみると…「足を目いっぱい伸ばすこともできるので、一般的な身長の人であれば問題ないサイズだと思う」。

寝台なのでホテルも不要。寝ている間に約500キロ移動でき、試合当日、サランスクに到着できるというわけだ。

ロシア鉄道・乗客局長「主に夜間に移動するので、走るホテルとして利用できます」

シャワールームは水の勢いもしっかりしていて、簡単な食事もでき、思った以上に快適そうだ。

ワールドカップの開催期間中、観戦チケットを持っている人は、こうした寝台列車を含め、30路線・700本の列車を無料で利用できるという。地方での試合開催を逆にチャンスととらえて、ロシアの鉄道を大々的にPRしようというのだ。

開幕まであと1か月となったサッカーワールドカップ。不安要素を解消し、大会を成功に導くことはできるのだろうか。