いったい何がある?米朝首脳会談のその先
世の中で議論を呼んでいる話題について意見を聞く「opinions」。今回の話題は「日中関係改善なるか?」。9日、日中韓首脳会談から始まった一連の会談をどう見ればいいのか。日本テレビ政治部・藤井潤デスクに聞く。
日本への中国首相の公式訪問は8年ぶり。李克強首相は9日午後、安倍首相と2国間の会談を行う。政府関係者によると、日中首脳会談で李首相は、11年ぶりにトキのつがいを提供する考えを示す方針だということで、日中関係改善のシンボルとしたい考えだ。
――9日午後からいよいよ日中首脳会談ですが、一連の会談をどう見ればいいですか?
午前中の日中韓首脳会談は、2年半前から中断していただけに、今回、実現しただけでも非常に大きな意味あいがあったと思います。
日本政府にとっては、9日午後の日中首脳会談で、日中関係の改善を確かなものにすることが、今回、大きな狙いの1つでもあるんですね。安倍首相は10日から、李克強首相と一緒に北海道も訪問するという予定も入っていますので、その力の入れ具合がわかるかと思います。
日中平和友好条約締結から40周年ということもふまえて、関係改善に向けてなんとかしようという機運が、双方に出てきているとも言えると思います。
――やはり、北朝鮮問題が大きなきっかけになっているということでしょうか。
そうですね。北朝鮮問題をめぐっては、先週、安倍首相と習近平国家主席が初の電話首脳会談を行いました。
ポイントは「米朝首脳会談 その先を…」です。いま、米朝首脳会談の行方ばかりが注目されるんですけれども、仮にこの米朝首脳会談を経て、北朝鮮問題が次のステージに進むことになった場合、アメリカだけで物事を進めることはできないはずなんですね。
北朝鮮を地理的に取り巻く日本、韓国、それから中国、ロシアという東アジアの国々が主役となって、この地域をどうしていくかということを考える必要が出てくるはずなんです。
特に中国は、8日に習近平国家主席と北朝鮮の金正恩委員長が会談をしたことでもわかるように、北朝鮮問題ひとつとっても、中国はアメリカに主導権を全て渡すことに抵抗があるというわけです。なので、米朝首脳会談の後、つまり米朝首脳会談のその先をにらんで、日本とも向き合ってリーダーシップをとりたい考えです。
それが、今回初の電話首脳会談の実現、そして、双方にとって関係を改善しようという機運にもつながっているとみられます。日中首脳会談では関係改善の第一歩として、日中首脳の相互訪問、いわゆるシャトル外交の実現などに向けて、どこまで具体的な合意ができるかなども、非常に注目ポイントになってくると思います。
――いま本当に、東アジアをとりまく情勢や歴史というものが、大きく変わろうとしていますよね。
まさにこの5月、6月というのは、外交に対して非常に注目が集まっていくと思っています。
■日本テレビ政治部・藤井潤デスクのプロフィル
人事部や社会部を経て政治部へ。当時の小渕首相や、自民党の野中広務元幹事長などを取材。その後、政治部で選挙本部・プロデューサーを兼務。最近では“日テレNEWS24”や、お天気キャラクター“そらジロー”のプロデューサーも務め、2017年から政治部デスクに復帰している。
【the SOCIAL opinionsより】