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トランプ氏がノーベル賞?可能性と狙いは…

2018年5月2日 15:43
トランプ氏がノーベル賞?可能性と狙いは…

世の中で議論を呼んでいる話題について、意見を聞く「opinions」。きょうの話題は「トランプ大統領にノーベル賞!?」。日本テレビ国際部・小野デスクに聞く。

今月中にも行われる見通しの米朝首脳会談。28日の集会で、トランプ大統領の支持者からは「ノーベル賞!ノーベル賞!」という声があがる一幕もあった。それに対して「とてもいいね!ありがとう!ノーベル賞だって!」と応えるトランプ大統領――イギリスのブックメーカーによるノーベル平和賞の予想では、南北首脳の同時受賞が1番人気。トランプ大統領は2位につけているという。


――トランプ大統領はまんざらでもない雰囲気でしたね。

あれ、絶対欲しい顔ですよね。ノーベル賞と言えば、化学賞などがありますが、それは結果や成果に対して贈られるもの、ただ、この平和賞というのは、現在進行形の事柄についても贈られるものなんですね。

ですからせっかく平和賞を受賞したけれども、後から考えたらがっかりだったなということも結構あるんです。アメリカの大統領で、平和賞を受賞した人といえば誰を思い浮かべるでしょうか。


――オバマ前大統領ですね。

「核なき世界」の演説だけで、ノーベル平和賞を受賞してしまいましたね。このトランプ大統領というのは、いつもオバマ大統領のことを気にかけているというか、対抗心を燃やしているというか、常に意識しているんです。ですから、絶対、自分もノーベル平和賞を受賞したいんです。

オバマ前大統領が「核なき世界」だったのなら、自分は「核なき朝鮮半島」、これを実現したということでノーベル平和賞を受賞したと言いたいんですね。このノーベル平和賞の授賞式というのは今年10月です。もし受賞すれば、その1か月後には問題の中間選挙があります。だからノーベル平和賞という勲章をぶら下げて、中間選挙に乗り込みたいというところなんです、トランプ大統領としては。


――かなり理想的なシナリオということになってしまいますよね。大事なのは中身ということで、会談の注目点を教えて下さい。

私はこのように挙げてみました。「サラミのスライス」――これは例えの表現ですが、北朝鮮がサラミのスライスを差し出してくるのではないか、そこに注目だということです。


――どういうことでしょうか。

ウインナーソーセージというのは、1本丸々かじりますよね。でもサラミというのは、スライスしてちょっとずつ小出しにしてきたものを食べるというものですね。北朝鮮の今までのやり方というのが、この“サラミの方式”だと言われているんですね。

例えば、核の実験場を廃棄します、次は製造工場を無能力化しますと、こうやって小出しにして、ちょっとずつ見返りを求めていく、それが今までのやり方、でもそのあげくに約束を反故(ほご)にしてきたというのが北朝鮮のこれまでのやり方だったといわれています。

それに対して、トランプ大統領は今回、「いやいや丸ごとソーセージをくれ」と、「サラミのスライスじゃダメだ」と言わなければいけないんです。だからサラミのスライスを食べちゃいけないんです。トランプ大統領はせっかちなんですけれども、ここで成果を急ぐあまり、サラミのスライスに手を出してはいけない、そこが注目点だと思いますね。

最近になって、金正恩委員長というのは、実は戦略家なんじゃないかという言われ方もしてきています。トランプ大統領VS金正恩委員長という、この2人の個性のぶつかり合い、神経戦というものに注目したいと思います。


――なかなか読めない2人ではありますからね。トランプ大統領、しっかりウインナーソーセージという成果を得てほしいなと思います。


■小野高弘プロフィル
日本テレビ・国際部デスク。社会部時代には、オウム真理教事件や福島第一原発事故を取材、政治部では小泉元首相の番記者を務めた。その後はニューヨーク特派員を経て、現在トランプ政権や急展開を見せる北朝鮮情勢の取材を指揮している。


【the SOCIAL opinionsより】