ワーク・スマートで「人生のCEOに」 4
グーグル日本法人専務執行役員CMO兼アジア太平洋地域マネージングディレクターの岩村水樹氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。4つ目のキーワードは「“心理的安全性”がイノベーションを生む」。岩村氏のいう“心理的安全性”とは?
■テクノロジーだけではダメ
――4つ目のキーワードは「“心理的安全性”がイノベーションを生む」ということなんですが、こちらはグローバルに活躍する女性に共通点があるということなんでしょうかね。
私たちの活動を通じて一番重要なことは、テクノロジーを活用するのはとても大切なんですけれど、テクノロジーだけではダメだと。テクノロジーにプラスして、カルチャーを変える必要があると、それがやはり働き方を変えていくことにつながるんですね。
そういうお話をして、グーグルのイノベーションを生む働き方みたいなことをカルチャーということで、よくお話をしたりすることがあるんですけれども「いや、それはグーグルだからできるんでしょう」というふうにいわれてしまうこともあります。そのなかで唯一、これだけは必ずできるはずなんでやってみて下さい、というふうに申し上げているのが“心理的安全性”というものです。
■「わかりません」と聞けるかどうか
――“心理的安全性”とは、なかなかすぐに理解するのが難しいですけど、どういうことですか。
サイコロジカルセーフティ、心理的安全性、2ついってどっちもわかりませんっていうふうにいわれるのですが、要は単純にいうと、そのチームの中で、誰もが自分らしく発言をしたり、質問をしたり、行動をすることができるというのが簡単なサマリーになります。
例えば、若手社員も入ってベテラン社員も入ってチームを作りましたと。そのときにタスクフォースを作ります。若手社員に任せた仕事の中で、若手社員が何かわからないことがあったときに、きちんと「わかりません」と聞けるかどうか。もし、わかりませんといって「なんで、こんなこともわからないのか」というふうにいわれてしまうと、みんなそれを聞かなくなるんですね。
■企業として隠す体質になってしまう
――すごくありがちですね。
ありがちですよね。それで、ダメというようなレッテルをつけられてしまうのではないかというふうになってしまうと、みんな聞けなくなってしまう。そうすると結局のところ、早い段階でわからないことが修正できなくて、結局プロジェクトの最終で上手くいっていないということになって、ものすごいロスにつながったりします。
あるいは、何かおかしいな?ということがあったときに、それはおかしくないですかと指摘ができるかどうか。そういうカルチャーがないと、やはり企業として隠す体質になってしまったりするというのは、最終的にはとても危ないことになります。
それ以外には、もっと簡単にいうとリスクがとれるカルチャーになっているかどうか。それは、何か新しいプロジェクトがあったときに「やってみたいです」というチームメンバーが多くいないと、新しいものは生まれないんですよね。
そういう環境になっているかどうかというのは、失敗したときに失敗したけどよくやったと。そこから何を学んだの、みんなでシェアしてね、ということが担保されているのが、“心理的安全性”が担保されているということです。それがあることが、やっぱりイノベーションにつながるということになります。
――チャレンジしても大丈夫だということなんですね。
そうですね。
――良いチームを作るということが大事なんですね。
そのためには、リーダー自らが弱みを見せる。それをやっていくことが、この“心理的安全性”を作っていくという意味では、非常に重要なことかなと思います。