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“交渉相手は米のみ”核廃棄のプロセスは?

2018年4月28日 20:30

北朝鮮の国営メディアは28日、金正恩委員長と韓国の文在寅大統領の会談を伝え、朝鮮半島の完全非核化を目指す「板門店宣言」を高く評価した。一方、アメリカのトランプ大統領は金委員長との会談に、改めて意欲を示している。

朝鮮中央テレビ「敬愛する最高指導者・金正恩同士は、歴史的な南北首脳対面と、会談のために板門店境界線を越えた」

国営メディアは「朝鮮半島の完全非核化」を目指す「板門店宣言」を大きく報道。南北関係の発展に向け大きな意義を持つと評価した上で、金委員長を称賛した。

一方、韓国のソウルでは南北首脳会談の翌日、朝鮮戦争の資料などが展示されている戦争記念館に親子連れなどが訪れていた。

父親「きのう首脳会談があり、子どもも関心があると思って、一緒に戦争の意味を考えるために来た」

「完全な非核化を通じ核のない朝鮮半島の実現」をうたった「板門店宣言」。ただ、非核化の具体的なプロセスには踏み込んでいない。北朝鮮は先週、核実験の凍結を宣言しているが、すでに持っている核兵器についての交渉相手はアメリカだけだと専門家は指摘する。

朝鮮半島情勢に詳しい朝鮮大学校・李柄輝准教授「現存の核兵器を放棄する、廃棄するプロセスについては、(朝鮮戦争の)主たる交戦相手であるアメリカとのみ交渉するというのが朝鮮側の一貫した立場」

では、米朝首脳会談が実現した場合、核を放棄する対価として北朝鮮は何を求めるのだろうか?

李柄輝准教授「朝鮮側は自らの国防において、最も重要な核を放棄するので、アメリカにも相当な対応を迫っていく。アメリカに対しては、朝鮮半島の平和を保証する手続きを要求していくだろう。つまり『安保対安保』でやっていく」

「板門店宣言」では、朝鮮戦争の終戦宣言を今年中に行うため、停戦協定を平和協定に切り替えるための協議を推進するとしている。平和協定が締結される場合、停戦状態にあることを理由に韓国に駐留してきた国連軍やアメリカ軍は、その存在理由が問われることになるという。

李柄輝准教授「朝鮮戦争が終結し、停戦協定が失効すると、朝鮮戦争の持続を前提に韓国・日本に展開していたアメリカ軍の存在意義は『なぜいるのか?』と問われることになる」

南北首脳会談後、アメリカのトランプ大統領は数週間以内に金委員長と会談すると明言した。

トランプ大統領「私は数週間以内に金委員長と会談する。楽しみだ」

会談場所はまだ明らかにされていないが、ホワイトハウスの関係筋は「シンガポールになる可能性がある」と話したほか、モンゴル政府関係者は首都・ウランバートルでの開催を「アメリカと協議している」としている。

6月上旬までに行われる見通しの米朝首脳会談。北朝鮮の非核化とともに、東アジアに駐留するアメリカ軍の存在も議題となりそうだ。