能登島のイルカの群れが姿見せず…どこへ?
石川県能登島に長年すみついていたイルカの群れが突然、姿を見せなくなった。観光客からも人気を集めていたイルカ。いったいどこへ行ったのか。
石川県能登島。海の中を泳いでいるのはミナミバンドウイルカ。17年ほど前からすみつき愛らしい姿で人々を魅了してきた。そんなイルカに今、ある異変が起きている。
13頭いたイルカの群れが2か月ほど前から突然、姿を見せなくなった。能登島で民宿「山水荘」を営む石田直人さん。毎年この時期には船の上からイルカを見たり、一緒に泳いだりするツアーが人気だが、現在は、イルカがいないため中止になっている。さらに、宿泊のキャンセルも相次いでいるという。
石田さん「(4月5月で)10件ぐらいはキャンセルでました。イルカメーンの宿泊客も多いので、イルカを楽しみにしてるんで今回はごめんなさいって話も」
能登島では、10隻の船が保護ルールを守ってイルカウオッチングを営んでいたが、現在はどこも営業できない状態が続いている。
石田さん「いつかはこんな日が来るんじゃないかと思ってましたけど、実際くるとさみしい気持ちはありますね。(イルカに)早く戻ってきてほしいです」
イルカたちはいったいどこへいってしまったのだろうか。能登島から約40キロ離れた富山県氷見市。そこには、入り江の中をゆったりと優雅に泳ぐイルカたちがいた。
能登島イルカ保護委員会によると、背びれにコの字型の傷があるのは能登島にいたイルカの特徴と一致しているという。突然現れた野生のイルカに富山県の人たちも興味津々。
富山県の人「びっくり。まさかこんな近くで見られるなんて思わなかったから」「初めてやな。近年、こんな氷見湾で20日ほどおるのは」
イルカの群れがすみついたのは氷見市にある小さな入り江の中だった。その海に面する温泉旅館では-。
富山・氷見市の温泉旅館の女将「3月の上旬くらいにお客様が窓際でずっと海見てるんですよ。『何見てるんですか?』『イルカいますよ!イルカ!』って、『えー!』っとなってそれからですね」「(Q毎日見ますか?)毎日いますね」
部屋の中からイルカの泳ぐ姿が見えるようになり、お客さんにも好評だという。
女将「いつまでこの氷見の、特にこのところにいてくれるのかまではわからないですけど、いる間は見て楽しませてもらえばいいかなと」
17年間も能登島にすみついていたイルカ。なぜ今回、氷見へと移動したのだろうか。
のとじま水族館イルカ・アシカ飼育担当、松岡哲也さん「好奇心旺盛な生き物ですから遊びで、中で動いちゃうってこともありますし、エサの魚を追いかけて夢中になって動くというのはあり得ます。すみ慣れた能登島に戻ってくる可能性も考えられますし、場所があまり好まなければ、また違う場所に移るかもわからない、そこはなんとも言えないですね」
水族館によると、これから夏にかけてはイルカの出産の時期になる。出産間近となればしばらく同じ場所に留まる可能性があるという。まもなく観光シーズンを迎える中、イルカの行方が注目されている。