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日米首脳会談1日目…安倍首相の成果は?

2018年4月18日 20:24

今回の日米首脳会談、テーマは「北朝鮮問題」だ。日本時間の18日朝、トランプ大統領は、米朝首脳会談で拉致問題を取り上げると明言した。

トランプ大統領「我々は拉致問題を(米朝首脳会談で)取り上げるだろう。今まさに話し合う時で、解決すべき時だ」

さらに、北朝鮮とすでに「極めて高いレベル」での直接交渉をしていることを明らかにした。米朝首脳会談を見据えて訪米した安倍首相。初日に成果はあったのだろうか?

■訪米の目的、初日の様子は?

まずこちら、初日の安倍首相とトランプ大統領。2人とも、紺色のストライプで同じ色、同じ柄のネクタイと、パッと見るだけで仲の良さを世界中にアピールできる。どんなネクタイにするかあらかじめ聞いて狙ったのかどうかはわからないが、可能性もある。

あらためて、今回の訪米の目的は、史上初の米朝首脳会談の前に安倍首相が直接トランプ大統領と会って、北朝鮮にどんな対応をするか、すりあわせをしたいということだ。

初日の日程としては、到着後、早速2人だけの会談が行われた。今回はトップ会談の時間を多く設けてじっくりと深い話をしたいという戦略が見てとれる。

この間、森友問題で渦中の人物となっている昭恵夫人は、地元の中学校を訪れ、久しぶりに公の場に登場。巻きずしを披露して笑顔を見せた。

■拉致、安全保障…具体的な話し合いの内容は

とにかく大前提として、北朝鮮との交渉は「予測がつかない」面がある。だから、安倍首相は、トランプ大統領が一気に北朝鮮に歩み寄ってしまわないようにクギを刺しておきたかったわけだ。

まず、安倍首相としては日本の拉致問題がおきざりになってしまわないよう、トランプ大統領に拉致問題の解決も米朝首脳会談で取り上げるよう求めた。これに対しトランプ大統領は「今がまさに話し合う時期だ」と、拉致問題の提起を約束。解決に向けてプッシュしてもらえる可能性があるようだ。

日米外交筋によると、横田滋さんの見舞いに行った話や、5人の拉致被害者が帰国した経緯について、安倍首相から詳しく話した。何度も話している話だが、トランプ大統領は、拉致についてはシンゾウは熱い気持ちがあるのがよくわかった、と言っていたそうだ。

そして、安全保障面では安倍首相は、アメリカ本土に届く長距離のミサイルだけでなく、日本の安全保障、日本の脅威に関わる短距離、中距離ミサイルの廃棄もいれてくださいよ、ということを求めたとみられる。

日米外交筋によると、この点についてトランプ大統領は「日本の立場はわかっている」と話したという。そして、トランプ大統領は「日本のために最善となるようベストを尽くす」と応じたという。

■もしも金正恩委員長との会談がうまくいかず、トランプ大統領がサジを投げるなどということはないのだろうか?

それは誰も望まないことだ。そういう時にはちゃんと冷静に対応してくださいよ、とクギを刺すという意味でも、トランプ大統領と仲の良い安倍首相の役割が大きい。

■開催場所は「5か所に絞った」

そのトランプ大統領、この米朝首脳会談の開催場所について、「アメリカ以外の5か所」に絞ったことを、今回、初めて自分から明らかにした。

その5か所とはどこか。アメリカではない、とトランプ大統領は明らかにした。また、北朝鮮とは休戦状態であり、当事国でもある韓国でもないと日本テレビの取材で判明している。考えられるのはモンゴル、スウェーデン、スイスあたりだろうという。

■米朝会談なのに、なぜどちらかの国でやらないか。

例えばトランプ大統領が平壌に行けば、北朝鮮にすり寄るのか、と。金委員長がワシントンに行けば、アメリカに譲歩したようにも見えてしまう。だから、政治的に中立な第三国であり、歴史的で緊張がともなう会談なので両国が安心して話せる場所。具体的には、足場があって、こうした会談の実績がある場所。

例えば、モンゴルは北朝鮮から電車で行ける距離で、さらに、拉致被害者・横田めぐみさんの父・滋さんらが、2014年にめぐみさんの娘と面会した場所でもある。

一方、スウェーデンは、米朝首脳会談の開催に向けて先月には北朝鮮の李外相が訪問。平壌に大使館を置き、アメリカとの仲介役を果たしている。

また、スイスは、過去何度もアメリカと北朝鮮の協議が行われている場所で、金委員長が留学していたこともある。永世中立国で、仲介役として存在感を出していて、先月には米朝首脳会談の開催地に自分から名乗りをあげている。史上初のこと、果たしてどの国で開催されるのか、気になるところだ。

■CIA長官が北朝鮮を極秘訪問…アメリカの本気度は

そんな中、2週間ほど前に、CIA(=中央情報局)のポンペオ長官が北朝鮮を極秘訪問して、金委員長と直接会談していたことがわかった。

トランプ大統領は最近、米朝首脳会談は6月上旬までに、とか、場所は5か国にしぼった、とか明かしていた。このポンペオ長官の訪朝を受けて言ったのではないかと言われている。

訪朝したポンペオ長官は、トランプ大統領が最も信頼を寄せる人物で、北朝鮮をめぐり早期の軍事攻撃を主張してきた、いわば強硬派と言われている人物だ。そのポンペオ長官を、米朝首脳会談を前に訪朝させたのは、かなりアメリカの本気度を感じさせる動きだといえる。

■両首脳に“共通する点”

日本では森友、加計問題など国内の政治情勢が荒れている。アメリカでも中間選挙を11月に控え、トランプ大統領にとっても国内向けに点を稼ぎたい時。つまり、今は2人とも外交でアピールしたいという点で共通している。

そうした流れの中で、トランプ大統領が、対北朝鮮で成果を急いで妥協してしまう可能性もまだ残されているので、日本側はこれでもろ手をあげて喜ぶことはできないともいえる。