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広がる“無料サービス”美容家電や果物まで

2018年4月18日 20:16
広がる“無料サービス”美容家電や果物まで

最新の高級美容家電も、無料で60分間じっくりと使いごこちを体験。酸味が少なく果汁たっぷり、今が旬のフルーツも無料で。こうした“無料サービス”が、今、広がりをみせている。

◆高級美容家電も…

カーテンに囲まれた部屋に大きな一枚の鏡。タッチするとカメラが起動した。不思議な鏡は、肌状態を読み取るハイテクミラーだ。実はここ、パナソニックの美容家電専門店『Panasonic Beauty SALON 銀座』。最新の美容家電を60分間無料で体験することができるのだ(「プレミアムエステコース」60分無料、予約制)。

また、パワフルな蒸気がウリの最新高級スチーマー(6万8000円・税別)、さらにはフェイスマスク「ブースターマスク」(4万円・税別)もベッドで体験できる。

芝野枝里子副館長「体験して、その効果を実感していただいた上で、購入していただきたい思いがあり、購入の後押しになっていると考えています」

無料体験でじっくり試してもらうことが、高級家電の販売につながっているという。

◆旬のフルーツも“無料”、なぜ?

東京・港区のアンテナショップ『香川・愛媛せとうち旬彩館』には、今、“旬のフルーツ”が。

石丸正雄業務課長「こちらがこれから旬の柑橘(かんきつ)、河内晩柑(ばんかん)になります」

和製グレープフルーツとも呼ばれる河内晩柑は、すっぱくなく果汁が多いのが特徴だ(1個200円)。

石丸正雄業務課長「温暖な地域でないとつくれない品種です」

都心ではあまり見かけない、地方の名産フルーツ。実はこれを“無料でゲット”する方法がある。そのヒミツとは?

     ◇

やってきたのは、熊本県の市場。段ボールには、あの河内晩柑が詰まっているが…。

フリフル運営責任者 坂口龍也さん「こちらの箱だけが(無料)プレゼント用の晩柑になります。キズが入っていたり、汚れ・斑点がついていたりして『規格外品』になるので、廃棄されたりするんですよ」

「規格外品」となり、市場で買い取ってもらえないフルーツ。そういった“規格外品フルーツ”をフルーツ通販会社が安く買い取り、希望者に抽選の上、無料でプレゼントしている。

フリフル運営責任者 坂口龍也さん「当選した方が『おいしかったから、自宅用にもう1回買う』とか、『プレゼントで購入する』っていう方はいらっしゃいます」

まずは無料でプレゼントして味を知ってもらい、その後、有料での販売を狙っている。

◆学校にも“無料”が

栃木県の私立『佐野日大高校』。新学期、生徒に配られていたのは“無料ノート”。さらに、何冊もらっても“無料”。そのため、この高校では、年に数回、大量のノートを生徒に配るのが恒例となっている。なぜ、そんなことができるのだろうか。ノートの表紙にヒントが──

表紙には、「ダース」という文字が書かれている。そう、人気チョコレート「ダース」をモチーフに作られたノートなのだ。さらに、ノートの下の部分には著名人の格言と共にチョコレートの写真があった。

ネクストエデュケーション・自習ノート 村田裕美さん「生徒様は無料でノートをゲットできて、企業様は商品とかサービスを知っていただける。ウィンウィンのサービス」

商品を宣伝したい企業が広告費でノートの制作を依頼。ノートは消費者に無料で配布され、宣伝効果が商品購入につながる仕組みだ。もらった生徒は──

生徒「(字を書く)スペースがなくなるから、ちょっととも思うけど、ちょこっと見て、将来に少しずつつなげていけたら良いと思います」

幼稚園にはランドセルメーカーの自由帳を配布。個人でももらえるという。(※柄は選べません)

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ここからは、日本テレビ経済部の石川真史記者が解説。

◆“無料サービス”を行う企業の戦略とは

実は企業は、無料サービスで消費者にある心理的な作用を起こそうとしている。

たとえば、お客さんが試食や試供品のような無料サービスを受け取ると「お返しで買わなきゃ」という“返報性の原理”とよばれる『感情』が生まれる。また、お客さんはこうしたサービスを何度も受けると、商品に対する「関心」が高まる。

企業としては、お客さんがこうした心理状態になることで売り上げを伸ばすことを狙っている。私たちの心理をうまく突いた企業戦略なのだ。

また、最近は「フリーミアム戦略」という言葉がある。フリー(=無料)で多くのお客さんにサービスを提供すると共に、一部のお客さんにはプレミアムとして有料で提供する。企業はここで得られる売り上げを使って無料の人向けも含めた事業全体を運営する。

これはグルメサイトなどインターネットを使ったサービスに多いのだが、企業側は、まずフリー(=無料)で会員らに情報を提供する。ただ、これにはある程度制限をかけていて、利用者に、もっと情報がほしいと思わせてプレミアムな有料サービスに誘導する。

◆“無料サービス”で注意することは

無料お試しのつもりが定期購入をさせられたといったトラブルが増えている。国民生活センターに寄せられた相談件数は、この5年で約800件から約1万8000件と、20倍を超えている。国民生活センターでは契約内容や解約条件をしっかり確認するよう呼びかけている。

私たちが無料でさまざまなサービスを受けられるようになるのはプラス。でも、そこには売り上げをあげたい企業の戦略があるので、しっかり確かめないとあとで痛い出費にもなりかねない。契約などに注意が必要だ。