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“鹿島灘はまぐり”潮干狩り場激減…理由は

2018年4月5日 20:44

春の味覚のひとつ、「はまぐり」。国産のものは高級食材としても知られている。そんなはまぐりがとれることで人気の潮干狩りスポットで、いま、異変が起きているという。いったい何が…。

茨城県でとれた春の味覚、はまぐり。大洗町の飲食店『鮨・浜しゃぶ ちゅう心』では、地元のブランド「鹿島灘はまぐり」を使った「はまぐり焼き(1760円・税込み)」などの料理を提供している。

かむごとに身の中から甘みがじわっとしみ出す、肉厚でプリップリのはまぐり。通常よりも大きく、うまみが濃厚だという「鹿島灘はまぐり」は、国産の高級品として知られている。

◇海岸に異変が…

そんな茨城県の特産品を一般の人でもとることができるのが、潮干狩り。5日、大きく潮が引く干潮の午後0時46分前後の時間帯、海岸でははまぐりなどをとる人が見られた。

しかし、今年はこの潮干狩りに大きな異変が。潮干狩りが可能なエリアと禁止エリアを示す看板がいくつも掲げられていた。実は、茨城・鹿島灘では、先月末まで黄色で示した広い海岸線で潮干狩りを楽しむことができた。しかし、今月からそのエリアは激減。わずか4か所に限られることになった。

茨城県漁政課 根本孝・課長補佐「はまぐりの漁獲量が非常に減った、資源が減ったことがわかり、本当にはまぐりの貝を守らなければ」

◇アサリ類の漁獲量が激減…なぜ?

農水省のまとめでは、はまぐりを含むアサリ類の漁獲量は2006年に約3万5000トンあったが、10年間で4分の1近くまで激減している。さらに、茨城県内のはまぐりの漁獲量は1995年には1200トンあったものの、年々減少。ここ数年は100トン前後と、20年近くで10分の1まで減っている。

資源減少の大きな理由について、貝類に詳しい専門家、国立研究開発法人水産研究・教育機構の浜口昌巳さんに聞くと──

浜口昌巳さん「地球温暖化にともなって、日本海域の水温が上がっている。水温が上がると、貝にとっての敵になる食害生物とかの活性が上がったりして(貝が)食べられる」

◇潮干狩り場縮小、他の理由も

今回、潮干狩り場が縮小された理由は、資源の大幅な減少だけではない。

茨城県漁政課 根本孝・課長補佐「2014年に、実に20年ぶりといわれるはまぐりの大規模な発生を確認。(はまぐりの子どもは)その後、徐々に大きくなって、今年ぐらいから3~4センチに成長してきています」

4年前に、はまぐりの子どもである「稚貝」が大量発生したが、その稚貝が潮干狩りのターゲットになる大きさに成長。そのため、潮干狩り可能なエリアを4つだけに絞り、今後の成長を促したいと県は説明している。

◇潮干狩り制限、一般の人も協力で稚貝守れ

エリア外での採取は茨城県の条例違反になるが、5日もその現場ではかなりの人が潮干狩りをしていた。

禁止エリアで貝をとっていた人に話を聞くと──

禁止エリアで貝をとっていた人「(Q:禁止エリアと知ってました?)いや、知らないです。びっくりしました」「(禁止エリアが)この区域というのは知らなかった。エリアが絞られたら、そこでとればいいこと。今日で終わりにします」

地元産のはまぐりの酒むしなどを提供する『鮨・浜しゃぶ ちゅう心』では──

代表取締役・今関雅好さん「小さいうちのはまぐりを一般の方にも食べてもらいたいですけど、とり過ぎちゃうと、結局、枯渇という部分で危惧されていますね。せっかくのおいしいはまぐり、皆さんで大事に大事にとっておきたいので、一般の皆様には、その辺のところで協力を得たいところだと思いますね」

茨城県や地元の関係者は、“いま稚貝を保護しなければ、資源が枯渇してしまう”として、潮干狩りを制限することの周知を図り、理解を求めたいとしている。