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アマゾン第2本社どこに?誘致巡る熱き戦い

2018年2月17日 19:46

アメリカのインターネット通販最大手「アマゾン」を巡って、今、熱い戦いが繰り広げられている。それは、第2本社の誘致。名乗りを上げた自治体の誘致戦略を取材した。

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年間19兆円以上もの売り上げを誇る、アメリカの巨大企業「アマゾン」。いまやインターネット通販事業にとどまらず、人工知能(=AI)の技術を活用したレジのない無人のコンビニをオープンさせたり、大手スーパーを買収したりするなど、実際の店舗の展開にも力を入れている。

ワシントン州シアトルに本社を構える「アマゾン」。事業の急拡大を受けて動き出したのが、“第2本社の建設計画”だ。

◆ロックデールが名乗りを上げた理由は?

テキサス州ロックデールは、第2本社の誘致に名乗りを上げた街。ロックデールが提供を申し出ている土地は、東京ドームで3000個ほどという、かつて北米最大のアルミニウム精錬所があった広大な敷地。第2本社の誘致に動いた背景には、精錬所の閉鎖がある。

ロックデール開発地区 キャラ・クロア氏「閉鎖によって何千もの職が失われた。雇用創出は、地域全体に非常に大きな影響を与える」

人口6000人足らずのロックデールでは、農業に携わる人が多く、所得は高くない。

牧場を経営 スティーブ・ヤングさん「アマゾンのような会社は若者に給料のいい仕事を提供するので、(誘致は)とても大きなことだ」

アマゾンの第2本社の誘致に成功すれば、最大5万人の雇用や約5600億円の投資があるとされている。そのため、地方都市の期待が高まっている。

◆カンザスシティーの“ユニーク”誘致

一方、都市圏の人口が200万人を超える、ミズーリ州カンザスシティーは、第2本社の誘致レースに勝つためにユニークな作戦に打って出た。

カンザスシティー スライ・ジェームズ市長「これが私たちがチャリティーで購入した1000点の商品のトップページ。全ての商品に5つ星をつけた」

市の予算で1000点もの商品をアマゾンで購入し、商品の評価を書き込んだ。評価欄を活用してカンザスシティーの名を猛アピールする作戦。

◆“誘致レース”の裏にあるアマゾンの戦略

そして、先月。誘致に名乗りを上げた238の自治体から、ニューヨークやロサンゼルス、カナダのトロントなど20の都市にまで絞り込まれた。詳しい選考理由は明らかにされていないが、カンザスシティーやロックデールは落選した。

アマゾン第2本社の誘致レースには、実はアマゾンのある戦略が隠れていると専門家は指摘する。

ニューヨーク大学 アリ・ギンズバーグ教授「こうやって公に発表することで、アマゾンの名前が出る。PRの観点でアマゾンの魅力度を上げることにもなる」

第2本社の場所ですらPRにつなげる、したたかなアマゾン。年内に建設地を最終決定するとしている。