見えぬ貧困 都内のネットカフェ難民4千人
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「ネットカフェ難民 東京都内に1日約4000人」。社会問題に関わる人を広げるための活動を展開しているリディラバ代表の安部敏樹氏に聞いた。
東京都の調査によると、住む家がなくインターネットカフェなどに寝泊まりする、いわゆる「ネットカフェ難民」が、都内に1日あたり4000人ほどいるとみられることがわかった。そのうち約3000人が派遣労働者など、不安定な働き方をしていると推定されている。
ネット上ではこんな意見が見られた。
「まだこんなにいたか…軽く見てはいけない」
「身元保証の壁はデカいな」
「自業自得・努力不足と言い切れない」
――この話題について安部さんの意見をフリップに書いていただきました。
「“見えない貧困”が広がっている」です。
一般的に貧困とか、ホームレスといった話になってくるとイメージされるのは路上生活している方、公園とかで寝泊まりしている方だと思います。でも実際のところ若い世代というのは、路上生活をしているのではなく、ネットカフェ難民になったりマクドナルドで夜を過ごしたりとかが多いのです。
これは、社会問題を扱う立場からするとより難易度が高まっているということなんです。
一見、路上生活者の人数で見ると、数が減ってきて対策ができていると見えるのですが、そうではなく相変わらず見えないところで多くの人が家がない状態で困っているんです。
実はこれは、ネットカフェ難民とかホームレスとかだけではなく、例えば、きょうのニュースで派遣型デリヘルの問題がありましたよね。あういう性風俗の問題なんかも、店舗型でやっていたものが派遣型になることにより、インターネット上でやりとりがすべて終わってしまうので見えなくなってくるんです。
いま、多くの社会課題というのは大体、見えない貧困、見えないなんとかの課題となってきています。みなさんの目に映らないからといって問題がないわけではないのです。むしろそれは、見えないカタチになってより難しくなっているというのが実際のところです。
――実際にそれに対する対策というのは何ができるのでしょう?
ひとつは、周囲の人が気付いてあげやすいカタチを作るというのが大切ですね。
例えば「子どもの貧困」というテーマがあったとします。「貧困の子どもたち集まれ」といっても集まることはないわけです。本人たちは見られたくないという気持ちがあるので、その貧困というのは当事者たちが隠すものであるという前提で周囲が気付いてあげるとかサポートしてあげるとかができると解決策につながっていきますよね。
――私たち一人一人が関心を寄せないといけないですね。
【the SOCIAL opinionsより】