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アルツハイマー病を少量血液で確認 世界初

2018年2月1日 4:20
アルツハイマー病を少量血液で確認 世界初

認知症の一つ、アルツハイマー病の発症前に、発症の可能性を少量の血液から高い精度で見つける方法を世界で初めて確立したと、国立長寿医療研究センターと島津製作所の研究チームが発表した。

研究チームにはノーベル賞受賞者の島津製作所シニアフェロー・田中耕一さんも含まれていて、田中さんらが開発した技術がいかされている。

アルツハイマー病の人は、発症前から脳の中にアミロイドベータと呼ばれるタンパク質が多く蓄積することが分かっている。国立長寿医療研究センターと島津製作所などは、血液の中に含まれるタンパク質を細かく分析する技術を使って、アミロイドベータがどの程度、蓄積しているかをわずか0.5ミリリットル、スプーン一杯ほどの血液から判定する方法をすでに開発している。

今回は、この方法の精度を確かめるために60歳から90歳の日本とオーストラリアの232人の血液を分析したところ、アルツハイマー病を発症していない人も含め、アミロイドベータの蓄積があるかどうかが9割の精度で分かったという。また、発症していない人の約3割でアミロイドベータの蓄積が確認された。

血液での判定結果は、従来ある、脳の画像検査でアミロイドベータの有無を調べた結果とほぼ一致したということで、新しい検査方法の精度の高さが証明されたとしている。

アルツハイマー病の発症前に、従来の検査より負担の少ない少量の血液検査で発症の可能性が分かる方法が確立されたのは世界で初めてだという。

今後は、アルツハイマー病の発症を予防したり、治す薬の開発を進めたりした上で、将来的には、健康診断の血液検査でアルツハイマー病の予備軍を早期に見つけ、その人たちに、予防薬を飲んでもらうことなどを目指すという。