再編の道筋は?悩める野党代表の2人に密着
今週スタートした通常国会で野党の迷走が続いている。いずれも党分裂の懸念を抱える2つの野党の代表を密着取材。浮かび上がった野党代表の苦悩と、再編に向けた道筋とは。
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24日、国会で安倍首相を追及する希望の党・玉木代表。
玉木代表「スパコン補助金詐欺の問題では、(閣僚などが)本件に関与していることはないと断言できますか」
安倍首相「補助金の交付等については、法令や予算の趣旨にのっとって、適正に実施されるべきもの」
しかし、足元は揺れている。民進党との会派の統一は、民進党が党内の了承を得られず白紙に。さらに、安全保障関連法への考え方の違いなどから、希望の党自体も分裂の危機にひんしている。
地元の香川県でも不満の声が。
支援者「野党一緒に動いてほしいなー。(政権の)選択肢がちゃんとなかったら(困る)、(自民党)一個しかないんだよね」
玉木代表「確かにいろいろしんどいんですよ」
支援者を前に、つい弱音も…。20日は香川県坂出市で餅つきに参加した。
玉木代表「粘り強く頑張らないと。永田町も一緒ですよ」
野党の合流はこのまま「絵に描いた餅」に終わってしまうのか。
さらに立ち寄ったのは、同級生が営む理髪店。統一会派が白紙になったことについて、愚痴もこぼれる。
玉木代表「えーって感じ。正直がっかりしましたけど」「ただ、協力できるところはこれからもしっかり協力していきたい」
今後も野党連携を模索する考えのようだ。しかし、最後は党の分裂も覚悟か、苦悩がにじむ。
玉木代表「(Q:分党はある?)思いの強さ、その濃淡において、どうしても埋めがたいズレが(党内に)存在しているのかなと」
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一方、迷走が続く民進党。大塚代表は20日、地元・名古屋市でおわびをしていた。
民進党・大塚代表「(地方選挙を)厳しい選挙にさせてしまう原因は、我々国会議員の方にございまして、おわび申し上げないとならないのですが」
名古屋市の有権者からは厳しい声が。
販売業の女性「民進党ってまだあるのって感じで」
保育士の男性「(民進党が)なくなってもおかしくないのかなって」
21日は地元のお寺の縁日でビラ配り。自然と出てくる言葉は…。
大塚代表「お騒がせしています」「いい方向に行くように頑張ります」
ここでも厳しい声が。
有権者の女性「(憲法は)改正しないといかん、絶対に。そんなこと反対しているからいかんのよ」
大塚代表「そういう議論をちゃんとしないといけない」
今の状況をどう考えているのだろうか。大塚代表に聞いた。
――統一会派は白紙。玉木代表への思いは?
大塚代表「申し訳ないなと思います」「(玉木代表に)電話でももちろんおわびしましたし、申し訳ないなと思います」
――民進党の中でも、立憲民主党に近いグループと、希望の党に近いグループがある。党分裂の懸念は?
大塚代表「バラバラにならないように工夫をしなきゃいけない。だから大変なわけなんですよ」
――安倍一強にどう対峙(たいじ)する?
大塚代表「(野党が)連携しなかったらよい審議ができないですよね。だからこそ、3党連携、3党統一会派ということを目指しています」
しかし、3党連携について、野党第一党・立憲民主党の枝野代表は「安易な数あわせをしていると国民の皆さんから見られかねない」と話し、3党による統一会派結成は困難だとの立場を変えていない。
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緊張感のある国会にするためには、巨大与党に対抗できるしっかりした野党が求められている。しかし、何を対立軸に連携するのか、どう再編を進めるのか、その道筋は見えていない。