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“トランプ政権1年”減税政策の行方は…

2018年1月20日 21:09

【トランプ大統領就任1年】

アメリカのトランプ大統領が就任してから20日で1年の節目となった。2年目はどんな経済政策を打ち出せるかが政権の命運を左右する。大統領肝いりの政策もスタートしようとしているが、不安の声もあがっている。

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■高額不動産の売れ行き好調 株価も上昇

取材班が訪れたのは、アメリカ・ニューヨーク郊外。住宅街に売り出し中の高級物件があった。敷地面積は東京ドームの約半分で、玄関には豪華なシャンデリアが飾られた吹き抜けのホール。大きなソファがいくつも置かれたリビングのほか、寝室だけで12部屋もある。高級ホテルのようなバスルームもあり、大勢のゲストを招待できる。さらに、地下にはバスケットボールのコートまであった。ぜいを極めたこの物件の値段は約44億円。実はトランプ政権の誕生以降、こうした高額な不動産の売れ行きが好調だという。

不動産会社の担当者「1000万ドル(約11億円)以上の物件は、ここ数年に比べて動きが活発です」

ニューヨーク中心部でも高級マンションの売買は活発になっている。

不動産会社の担当者「好景気でボーナスが増えた金融関係者に加え、IT関連の人も購入していきます」

トランプ景気ともいわれる好調な経済のもと、豊かになる都市部のサラリーマン。ニューヨーク株式市場のダウ平均株価はこの1年で3割も上昇した。


■地方の労働者に恩恵を…減税は効果があるのか?

しかし、トランプ大統領を支持する地方の労働者たちに、その恩恵は行き届いていない。トランプ大統領はその地方の工場に赴き、労働者たちを前に、今後行う新たな政策をアピールした。

トランプ大統領「アメリカの歴史上、最大規模の減税だ」「とてつもない数の雇用を生み出す」

トランプ政権が特効薬として打ち出したのは大規模な減税。法人税率を大幅に引き下げ、企業の活動を活発にすることで、労働者の雇用や賃金アップにつなげるのが狙いだ。果たして効果はあるのだろうか。


■“大規模減税実施”カンザス州で起きていることとは?

実はアメリカですでに大規模な減税を行った州がある。中部のカンザス州だ。ここで起きていることとは…。

取材班が訪ねた公立小学校ではお昼時、食堂では子どもたちが楽しそうに給食を食べているが、廊下には順番を待つ長蛇の列ができていた。生徒の数に対して食堂が狭く、入りきれないのだ。築102年になる校舎はいたるところで老朽化も進んでいるが、建て替える予算がない。新しい校舎の建設予定地でも工事は止まったままだ。その原因は減税にあるという。

地元自治体の広報担当者「減税の影響で州予算が削減され、建て替えを延期しました」

カンザス州は5年前、景気てこ入れのため大規模な減税に踏み切った。ところが、景気はいっこうに上向かず、州の税収が大きく減っただけに終わった。予算は削減され、しわ寄せは教育現場に。大幅な経費削減を強いられた学校もあった。

カンザス州の小学校校長「(約5000万円を)節約するため、教師10人を解雇しました」

結局、去年になって州の減税は取りやめになった。

州の議員ブレット・パーカーさんは、減税は失敗だったと振り返る。

カンザス州議会・パーカー議員「州の減税はひどいものでした」「教育のほか、インフラ、年金の予算も大きく減らされました」

そして、トランプ政権が行う政府の減税についても次のように話す。

パーカー議員「トランプ政権の減税は絶対に成功しません。減税はここで失敗しました。成功する根拠がありません」

トランプ政権が行う大幅減税には期待感もある一方、財政赤字が膨らんでいくだけとの分析もある。好調な経済は果たして続くのだろうか。