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“AI大国”目指す中国 その技術力は?

2018年1月19日 13:30
“AI大国”目指す中国 その技術力は?

中国では人工知能、いわゆるAIの分野での技術開発が急速に進んでいる。すでに実用化されている技術も多く、着実に“AI大国”への道を歩む中国の今を取材した。

中国東部・安徽省で開かれた、外国メディアを招いた記者会見。記者たちの注目を集めたのは、会場に置かれたモニターだ。話し手の中国語がそのまま文字になり、さらに同時に英語に訳されていた。これには音声を認識する人工知能、いわゆるAIの技術が使われていた。

この技術を開発したのは安徽省の地元企業だ。英語名を“アイフライテック”という。紹介された小型の通訳機に女性が中国語で話しかけると、話した内容がすぐに英語に翻訳された。中国語の難しい抑揚も正しく認識されている。反対に英語で話しかけても、あっという間に中国語に訳された。

値段は日本円で約5万円(2999元)。すでに商品化されており、ビジネスマンの海外出張に便利などとして、生産が追いつかないほどの注文を得ているという。別の機械では日本語も中国語に翻訳可能だ。

音声認識の分野では中国でトップレベルというこの会社。一部には技術を無料で開放して顧客を増やし、その技術は大手ソーシャルネットワークなど、中国で47万以上の会社に採用されていると胸を張る。

同じ安徽省の基幹企業の1つ“江淮自動車”。今後、需要が伸びるとみて力を入れているのが、“電気自動車”だ。新たに開発した電気自動車にも、アイフライテック社の音声技術が使われていた。

エアコンをつけるように中国語で言うと、AIが応答し、すぐにエアコンがついた。カーナビも音声で操作できるという。

中国政府は、こうしたAIを国際的な新しい競争分野と位置づけ、官民挙げて“AI強国”を目指している。習近平国家主席はこう述べた。

「製造強国の建設、先進的な製造業の発展を加速させ、インターネット・ビッグデータ・AIと実体経済の融合を進める」

かつて安い労働力を武器に“世界の工場”と呼ばれた中国は、今やその姿を変え、自らが望む“AI大国”への片鱗を見せつつある。